novel

□4センチ
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「マジ有り得ないんだけど」


帰り道、隣で先輩が不機嫌そうに呟いた。



4センチ




「去年は俺より小さかったくせに」


「しょうがないじゃないっスか、こーゆーのは個人差なんだから」


俺の言葉を聞いても先輩は尚不服そうにフーセンガムを膨らます。今日の日程は身体測定のみ。その後いつも通りに部活をして、今に至るのだ。
俺にとっては身長差なんてどうでもいいのだが、それを口に出すと怒られそうなので飲み込んでおいた。



「だってたった4センチでしょー?それに、他の先輩達のほうが俺より大きいし…「お前だからやなの!」


そう言うと先輩はプイと顔を背ける。そんな拗ねた動作も十分可愛いのだが、このままこちらを向いてくれないのも何だか寂しい。



「どうして俺だと嫌なんスか?」


「…どうでもいいだろぃ?そんなの」


「後輩の俺に負けたくなかった?」


「………違う」


じゃあ何で…と問い返そうとしたのだが、気付くといつの間にか分かれ道まで来てしまっていた。

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