君から届いた恋文

□休日
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ピコピコピコ。

ゲームの電子音が部屋に響く。

「よっしゃ!勝ったぜぃ!」
『ふーん。よかったね。』
「なんか反応冷たくねぇか?」

そう言ってまたゲームをする。

(…そりゃ冷たくもなるわよ!!)

今日は彼氏の部活が休みということで、久々に彼氏の家に来ている。
その彼氏、丸井ブン太はさっきからずっとゲームばっかりだけど…。

(折角久しぶりに二人になれたのにな…。)

「おっし、また勝ったぜぃ!天才的?」
『はいはい。』
…もうずっとゲームしとけばいいよバカ。
勝って喜ぶブン太はかわいいけど。

退屈なので気を紛らわせようと、鞄からガムを取りだし口にくわえる。
…とガム好きが反応した。

「おっ、藍!いいの持ってんじゃねーか。俺にもくれよぃ。」
『ちょっと待ってね。』

鞄の中を探していると、後ろから腕を引かれ、ブン太の両腕に包まれる形になった。

「俺はこれがいい。」

そう言って唇を重ね、私がくわえていたガムを抜き取る。

「ごちそーさん。」
『ちょっ…ブン太っ!』
「ん?どうした、藍。」
『どうしたじゃないわよ、もう…。』

されたことも恥ずかしかったが、今ブン太の腕に包まれているこの状況もなかなか恥ずかしい。

『ねぇ、ブン太。そろそろ離して?』
「やだ。」

そう言って耳元で囁く。

「藍、本当は寂しかったんだろぃ?」
『なっ…何が?』
「俺がゲームばっかしてたから。」

…こいつは。

『わかってたの…?』
「拗ねてる藍もかわいいから暫くほっといた。」
『もう、バカっ!』

ブン太が何もなかったかのようにガムを膨らます。

「まだ時間はたっぷりあるし、ゆっくり過ごそうぜぃ。」
『…うん。』

ひねくれ者の彼氏を持った私は、これからも大変そうです。

(てゆうか、ブン太。そろそろ離してよ。)
(藍あったけー。)
(ちょっと、聞いてる?)
(困ってる顔もかわいいぜぃ。)
(…恥ずかしいなぁ、もう。)


――――――END

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