SFFW本編

□スーパーFF大戦 第一部
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第1章 〜発端〜

飛空艇セルシウス…。
スフィアハンター、カモメ団が乗る飛空艇である。
今、大召喚士ユウナはこの飛空艇に乗って、召喚士の時からの仲間のリュックと途中から仲間になったパインとリュックの兄貴アルベド族のアニキとそのアニキの幼なじみのダチ、そしてアルベド族の天才少年のシンラと共にスフィアハンター、カモメ団を結成し、各地を飛び回っていた。
因みにスフィアハンターとは文字通りスフィアをもって手に入れる職業で、スフィアとは幻光虫を多く含んだ水で構成された球状の物体で、映像や音楽を記憶したり、能力変化や通信が出来たりと様々で…スフィアハンターはスフィアの中に記録されたスピラの昔の映像を撮った物を捜し出し、手に入れるのが目的であった。
元々ユウナはビサイド島のビサイド村でスピラを救った大召喚士様と言う事で毎日、人々の訪問と相談を受け、アドバイスを与えながら暮らしていたが、ある日リュックが訊ねて来て、キマリが見つけたと言うスフィアを見せてくれた。
そこにはスピラを救い、自分の目の前から永遠に姿を消した少年、ティーダに似ていた少年が映っていた。
ユウナは居ても立っても居られず、ルールーやワッカに何も言わずにリュックと共に旅に出たのだ…。
そして、現在に至っている…。
そして今、セルシウスのブリッジにはアニキ等の面々とパイン、リュックの二人がいた。
面々は暫くの間、談笑していたが、ふとパインは思い出し、リュックに話し掛ける。

「リュック、そろそろ物資の補給をしよう。
水と塩が不足し始めている。」

そう切り出すと、アニキも又、

「ソレニ、ニクト、サケモ…。」

と嬉しそうに切り出す。
リュックはアニキを見ると、呆れたような表情になり、

「酒は、アニキとパインだけでしょ…!」

と言うと、アニキは言葉に詰まり、誤魔化す様に頭を掻く。
“もう…”とリュックは呟きながらパインの方を見る。
パインはいささか不機嫌そうに“私はヤツ(アニキ)ほど酒飲みじゃないぞ…”と言外に表情で語っていたが、リュックが“ゴメン…”と小さく片手で謝った事で溜め息を付いた。
リュックは続けて喋る。

「でも、水と塩は重要だよね…。
そうだ!確かブリッツの試合がルカで有ったよね?
観戦ついでにルカで補給しちゃおうよ!」

と提案すると、パインも賛同し、
「確かにそうだな…ルカなら、色々チェックも出来るし、良いんじゃないか…?」

と賛成する。
それと同時にダチの方から、

「だったら今、ルカの方に御宝のスフィアの反応が有ったぜ。」

と報告が入る。
完全に行き先は決まった様だ。

「じゃ、ルカに目標決定!早速、ユウナに話して来る。」

と急げとばかりにセルシウスの居住区のキャビンに居るユウナの元へリュックは走り出そうとしたその時だった…。

「リュック!そう言えばユウナはまだ体調が戻らないのか?ここの所、調子が悪そうにしていた様だが…。」

パインが冷静にリュックに尋ねる。

「うん…またヘンな夢見て、寝不足だって…。」
「変な夢…ああ、あの見ず知らずの女の子が呼ぶ夢ってヤツか?」

ユウナの夢と言うのは、ここ数日見る夢の事である。
ユウナが言うには、知らない女の子が出て来て、何やら必死に話掛けると言う夢なのだが、その所為でここの所ユウナは寝不足で少し体調を崩していた。
その為、今セルシウスの居住区のキャビンで休んでいるのだが…それもあってパインはユウナを心配していた。
視線を落とすと、

「そうか…ユウナも大変だな…。」

と溜め息を付く。
だが、リュックはパインとは反対に笑顔になると、明るい声で、

「ユウナなら大丈夫だよ。意外とタフだから…。」

そう言って微笑むと踵を返してブリッジから出て、ユウナの元へ行く。
パインは時々、リュックとユウナのお互い言わなくても信頼している絆が羨ましいと思った。
過去、自分が失った絆をこの二人は持っているからだ…。
従兄弟同士とは言え、ユウナが召喚士の時からガードとして同じ旅を続けた者の強さだろうか…。
羨ましく微笑ましく思いながら、パインは微笑し、リュックの後ろ姿を見送った…。

一方、ユウナは夢の中に居た。
ここ数日の間、良く見るあの不思議な夢であった。
周囲は赤い霧に包まれた様に赤くて、天も地も無く、何も無い赤い無限の世界…。
その中にユウナは立ち、夢では無い妙なリアル感に不安を抱き、周囲を見渡す。
すると、

(…ユウナさん…。ユウナ…。)

と、何時もの様にポニーテールの少女の胸像が朧気に空間に現れ、ユウナに語り掛けて来る。
少女は可愛らしい高い声で、切羽詰まった様な必死な口調で自分の名を呼ぶ。
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