小説
□乱世、再び
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意識が戻ると、目を閉じているのに明るかった。
朝かと思い、目を開けると……
「――――――ここは……?」
見渡す限りの荒野。それが目に映った。
「……どこだよ……。」
俺は寮で寝てたんじゃなかったっけか?
寝ぼけて歩いてきたとか?
…まさかね。
いくらなんでも周りに何もない荒野まで歩いてこれるわけない。
―――――歩いてこれるわけない?
ならどうやって来たんだ?
及川あたりの悪ふざけだったら説明がついたが、歩いてこれないとなると悪ふざけではないということだ。
なら、誰が?
まさか拉致?
なんて考えていると後ろから声が聞こえてきた。
「おい、そこのお前!」
振り返ってみると、眼帯を付けた俺と同じくらいの歳っぽい女の子がいた。
「格好からして怪しい奴だな……。ここで何をしていた!」
強い口調で彼女は喋る。
「……。」
「それは言えぬということと捉えていいのだな?」
「……。」
別に何も言えないことがあったわけじゃない。もちろん、この女の子の威圧感にやられたわけでもない。
ただ、この娘には前も会ったような気がするのだ。それも一度二度見た、とかではなく、もっと毎日会ってたような……。
駄目だ。思い出そうとすると……あた、ま…が……。
「おい、どうした。しっかりしろ!」
急に周りの景色がぼやけてくる。
―――――俺の意識はそこでとんでしまった。