BOOK4

□1年9組の昼休み
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『1年9組の昼休み』


4時限目が終わり、昼休み。
1年9組の教室では、野球部の3人が昼ご飯を食べようとしていた。


田「あーハラ減ったぁー!今日は早弁しなかったからゆっくり昼飯食えるな、三橋!」

三「うん!そう だね!」

泉「早く席くっつけようぜ」


3人は円を描くように席の位置を変えると、それぞれの鞄から弁当を出す。
だが…


三「あれ…?」

泉「ん?どした、三橋?」

三「お 弁当箱が…無い…」

田「え、だって今日は学校来てから一回も出してないんだから、あるはずだろー?」

三「でも無い、んだ…。2時間目まで はあった、のに…」

田「3時間目って体育だよな。…もしかして外行ってる時盗まれたとか!?」

泉「弁当盗む物好きが何処にいんだよ。阿部じゃあるまいし…」

阿「よぉ!!三橋居るか!?」

泉「あー、噂をすれば」

阿「何っ、三橋が俺の噂をしてたのか!?」

泉「誰もんな事言ってねぇよ。耳まで腐ったか」

三「阿部くん…、どう したの?」

阿「おお、三橋っ…!今日も可愛いなぁっ!!実はな、渡したいものがあって来たんだ」

田「可愛いとか素で言ってるよ…。恥ずかしくねぇのかな?」

泉「もうそういう感覚自体が無くなってんじゃねぇの?」

三「渡したい ものって、なに?」

阿「ふふふー、見て驚くなよ?ジャジャーン!」

田「…あ」

三「オ、オレの、お弁当…!」

阿「3時間目から腹に抱えて温めてたんだ。出来立ての時とまではいかないけど、俺の体温で少しはあったかくなってるハズ!さぁ、食え三橋!」

3人「「「……」」」

阿「どうした?…そうか!感動で言葉が出ないんだな!?」

泉「…呆れて物も言えないってこういう事を言うんだな」

阿「え?」

田「三橋、これはゲンミツに食ったらダメだぞ!」

三「うん、食べない よ!絶対!」

阿「ええー!何でだよ三橋!?俺が愛を込めて温めたのに!!」

三「気持ち悪いよ、阿部くん」

田「うわ、三橋にまで言われたら終わりだな」

阿「き、気持ち悪い…!?…あぁ、なんだかゾクゾクする…!もっと、もっと言ってくれ三橋!!」

泉「ダメだこいつ」

栄「やぁ、泉。近くを通り掛かったら何やら不穏な気配を感じたんだけど、キモベでも居るのかな?」

阿「さ、栄口…!何故ここに…!?」

栄「やっぱり居た」

泉「調度良かった。栄口、こいつ言葉責め好きみたいだから、栄口の言葉責めも聞かしてやってよ」

阿「いや、泉!俺が好きなのは三橋のであって、誰でも良いと言う訳じゃ…!」

栄「へぇ、そうだったんだ。そこまで言うなら聞かせてあげるよ。じゃ、体育館裏まで行こうか?」

阿「わぁぁーー!ちょ、助けてくれ三橋!!」

三「栄口くん、阿部くんの事よろしくね」

栄「了解」

阿「え、待っ…!ぎゃああー…!」


この日、体育館裏から人のうめき声がするとひそかに噂になりましたとさ…。





*Fin.*

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