赤、華と散りて
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目を開くと揺れているカーテンの間から、ちらちらと柔らかい光が飛び込むとルカは眩しそうに手をかざす。
私はどうしてここに・・・?
まだ寝ぼけているようで部屋を見渡し、何も無い簡素な部屋だと思っているとだんだん昨日の記憶が蘇ってくる。
「・・・!!」
ここはっ、いったい!シークキャットは・・・
「よく眠ってたみたいだね。」
気配が全く無かったので声をかけられたことに驚いた。声の主はルカが眠っているベッドのすぐ横に座っていた。
ルカはあまりの怒りと恐怖で言葉がでない、ふるふると震えながら見返すのが精一杯であった。
この見目麗しく成長している青年こそが十年間追いつづけた人物、シークキャットだ。
でも、なぜ彼は私を生かしている?
ザックの後私を殺しても何の不思議もない。今もこうしてここにいる理由がどうしてあるの?
「いったい何が目的か?」
思っていたことがつい口に出たのかとルカの心拍数が急激に上がる。そうでないにしろ、タイミングが良すぎる。ただただ見つめるルカにお構いなく、
「目的か・・・そうだな、仕事を終わらせて帰ろうとしたら真っ赤に染まった君がいて、あまりにも美しいから・・・」
ルカはそのときはっとした。自分の手や服をよくみてみると、
「そういえば、血は?あれ?服も・・・もしかしてあなたが?」
そういうとシークは満足そうに微笑みながら
「そのままにしておく方が失礼だろ?安心して、僕は目をつむりながらでも着替えはできるから。」
そういう問題じゃないとツっこみたいのを抑えたルカはなんだか毒気を抜かれた。
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