SUMMON NIGHT
□第15夜
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…泣いたあとには笑ってね。
第十五夜
最初で最期の、。
“愛してる”
たったこれだけの言葉で
お前を繋ぎ留めることが出来たのだろうか。
臆病な自分は、それすらも告げることは叶わなかったけれど。
“去くな”
言えば困ることくらい分かっていた。
それでも、言わずにはいられなかった。
こんなに近くに居たのに。
手を伸ばせば触れ合えた。
引き寄せれば抱き締められた。
奥底に沈めた愛しいという感情さえも、望むなら何度でも言えたのに。
いつの間にか、
何よりも誰よりも大切になっていた。
深い闇の底でいて、突然届いた鮮烈な光。
なのにいつだって、
人は俺を置いて行く。
微笑みながら、
切なさだけを残して。
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