ある日のこと。 かの悪名高い闇の帝王様が、今日も今日とて如何にしてマグルをこの世界から排除してくれようかと思案していた時のことです。 ふと、さっきまで同じ部屋でペットのナギニと戯れていた少女が目の前にある革張りのソファで眠っていることに気付きました。 余程ソファが落ち着くのか、はたまた退屈を持て余しているのか。 困ったことに、この少女は時折こうして無防備にお昼寝に興じることが多々ありました。 忙しいときならば綺麗さっぱり無視をして少女が起きるまでソファの上に放置する帝王様ですが、今は特に急ぎの用事もありません。 何となく気が向いた帝王様はその腕に少女を抱えてベッドルームまで運んでやることにしました。 |
帝王様はベッドに少女を寝かせてついでにシーツも被せます。 ここで額にキスでもすれば完璧ですが、帝王様は特にそんな素振りも見せずに早々と少女の部屋から立ち去ります。 ドアの方へ足を向けて、その時初めてテーブルの上に一冊の本があることに気付きました。 帝王様は学生時代から頭脳明晰であり本もよく読みます。 ここの屋敷の主でもあるので、自分の蔵書は全て記憶しています。 しかしテーブルの上にある本は見たことがありません。 少女のものでしょうか? タイトルもなく黒い表紙の本は何となくある物を連想させますが、どこにもトム・M・リドルの名前がないという事はやはり帝王様のものではありません。 何となく軽い気持ちで帝王様は本を開いてみました。 1ページ目は真っ白、2ページ目からは英語とは違う何だか角張った文字が続きます。 それが日本語であると気付いた帝王様は杖を振って翻訳呪文をかけました。 |
…×月×日、曇り時々晴れ。今日はナギニちゃんと一緒に庭を散歩した。庭小人というものを初めて見て… |
そこまで読めば本の正体はすぐ分かります。 帝王様が知らないのも無理ありません。 そうです。 何とそれは、少女の日記だったのです。 彼女の日記+α (こっそり、読んでみる?) |