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□1.君の体温が優しくて
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涼宮さんを中心に並んで歩く女子三人。その後ろを数歩離れて僕と彼は歩く。

今日の話題は彼の興味を引いたのか、珍しく口元に笑みを浮かべ、話し返してくれる。

ふと、前からきた通行人を避けようと彼が僕の方に体を寄せた。
彼の手に僕の手が一瞬触れる。感じた体温を手放したくなくて、通行人を見送り僕から離れようとした彼の手を握った。

恥ずかしがり屋の彼は、人前で手を繋いだりする行為を好まない。
だから、怒っているかもしれないと彼を見れば、俯いたまま歩く彼の姿。

やはり怒らせてしまっただろうか?

「……すみません」

そう言って、離そうとした手を彼の手が握り返した。

「……このままでいい」

「えっ……いいんですか?」

驚く僕に、俯いたまま小声で答えた。

「ああ。……言っておくが、今日だけだぞ」

「はい」

「それと……」

彼が顔を上げた。頬が少し朱に染まっている。

「ハルヒ達がこっちを見たら、手離すからな」

「はい、わかってます」

きっと今の僕は、誰が見ても幸せだと思うような顔をしていることだろう。

彼と手を繋いで歩く帰り道。彼の体温を少しでも長く感じていたいから、前を歩く三人がどうか振り向きませんようにと、願った。

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