ハルヒ(短編)
□・一夜限りの夢
1ページ/2ページ
学校からの帰り道。宿題が面倒だと愚痴る俺に、
「それなら、これから僕の家で、一緒に宿題をしませんか?解らないところはお教えしますよ」
と、古泉が声をかけてきた。あまり乗り気はしなかったが、一人でやるよりはマシだろうと、俺はその誘いに乗った。
そしてさっきまで、テーブルに教科書とノートを開いて、宿題をしていたはずなのだが……。
おい。なんだこの状況は?今、俺は何故か古泉に押し倒されていた。
目の前には、古泉の真剣な顔。
古泉の左手は、俺の両手を頭上でまとめあげ、右手は俺の肩を押さえていた。
「……抱いてもいいですか?」
……笑えない冗談だ。俺にそんな趣味はない。とっととその手を離せ。
「僕は本気です。……冗談でこんな事出来ませんよ」
本気なら尚更質が悪い。
俺は古泉の手から逃れようともがくが、強く押さえられていて逃げられなかった。
「……離せ」
「離しません、答えを聞いていませんから。あなたが好きなんです。……抱いてもいいですか?」
尋ねているくせに、NOと言っても離してくれそうにないのだか。
それに答えなら、今までの俺の態度でわかるだろ。
そもそもそういった質問は、普通押し倒す前に聞くべきだろーが。
「押し倒す前だと、あなたは逃げるでしょう?」
「当たり前だ。……それに、俺には……」
「知ってます。あなたに付き合っている人がいる事は」
「だったら、俺の幸せを願って手を引くとか出来ないのかよ」
俺は古泉から目を逸らし、言い放った。