ハルヒ(短編)
□・神はなんて残酷なのだろうか
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いつもの部室。僕は一人チェス。窓際で長門さんは読書。朝比奈さんは皆の為にお茶の用意をしている。
涼宮さんはパソコンの前に座って、なにやら彼と言い合っていた。彼女のことだ、きっとまた無茶な命令でも言っているのだろう。
そんないつもの光景を、いつもと同じように見られないのは、昨日彼から言われた言葉が原因だろうか。
『俺、ハルヒと付き合うことになった』
昨日珍しく彼から電話があった。嬉しさを隠して電話に出てみれば、開口一番にその言葉。
『おめでとうございます。涼宮さんとの交際、僕も心から祝福しますよ。きっと機関の方達も喜ぶでしょうね』
そんな心にも無い言葉をかけたと思う。まだ何か言おうとしている彼に、すみませんが今忙しいんです、と言って僕は電話を切り上げた。
これ以上彼の話を聞きたくなかった。だから、二人が付き合うことになった経緯を僕は知らない。知りたいとも思わないが。
チェス盤から、パソコンに視線を移す。涼宮さんが座っていた席に今は彼が座っていた。
「じゃあ、キョン。任せたわよ!」
「はいはい。……ったく、無茶ばっか言いやがって」
その言葉がいつもより優しく聞こえるのは、口元が嬉しそうに微笑んでいるのは、…………ねぇ、僕の気のせいですか?