自虐詩 -Diatraction-

□作品No.1〜5
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No.1

ナクシモノ



涙を涸らした少女は
 音も立てずにただ
失くした宝石と
 自分を探していた

春も 夏も 秋も 冬も
 部屋で独りきりで
灯りすらもないのに
 それでも探し続け

モノはあるのに
 自分はなくて
輝く宝石が
 堪らなく憎くて

自分の存在の不安が
 小さな胸に重く圧し掛かり
明日が見えない事より
 不安で 悲しくて…

濁り濁る 青い空が
 闇色に染まっていく
北の下弦の月が
 朱く紅く 輝いて


自分を斬り付けた少年は
 血を流しながら
血まみれのナイフと
 自分を探した

巡り廻る 季節にさえ
 気付かないままで
部屋中探しても
 失クシ物はないままで

傷だらけの この両腕で
自分を抱締めて
 流れたのは泪

自分の存在の意味が
 見付ける事が
 出来ないままで
意味を見付け出そうと
 自分をまた傷付けた

澱み澱む 碧い海が
 紅に包まれていく
西から顔を出した太陽が
 嘲笑う



傷だらけの この両腕で
存在しないからだ
 キツク抱いて

でも いないから
 空を切る腕
有るモノ 無いモノ
 全て憎んだ

堕ちて堕ちる
 青い惑星<ホシ>が
 二つに割れていく
流浪する アダムとイヴは
 永久にサヨナラ

崩れ崩れる 真白の自我
 黒い淵を造っていく
這い出た危惧の心
 誰も彼もを 堕としていく




―――――――――――――――
歌詞調に。
確かな自分がないから、世界すら歪んで見える。
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