THANKS CLAP!!!
暖かい日、さくらいろ
暖かい。
風が優しいのがわかる。
チェスターは頼まれていた買い物を済ませ、帰路についていた。
自分が育った村の、あの頃よりも少しだけ整備された田舎道を、彼はゆっくりと歩く。
道端に桜の木が一本植えられている。満開だ。
雪のように花びらが舞っている。
春の日差しが反射して、それらはきらきらと輝いていた。
つい立ち止まってその様子を見ていると、ふわり、とその中の一枚がチェスターの肩に乗った。
その色は彼の知る誰かに似ていた。
「…なんだよ」
苦笑まじりで、いつも"誰か"に向けている言葉を、同じように花びらにも言う。
ただの花びら一枚に向ける、彼の瞳はこの上なく優しい。
「…行くか」
そう呟いて、チェスターは肩に乗った花びらをおみやげに、家で待つ"誰か"の元へと急いだ。
春の風の中、少しだけ。
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