リリカルなのは《短編》

□夢轍。
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それはとあるロストロギアから始まった。

「ふぅ……今回は回収に手間取りましたね…」

回収し終わったロストロギアを見て高人はほっと一息ついた。

《仕方ありません、色々と、噂の絶たないロストロギアでしたから。》

デバイスであるイザナギも機械ながら少々疲れた感じを出す。

高人「そうですね…まぁ、これで久々に家でゆっくりできますよ」

そう苦笑する高人だった。

それが全ての始まりだと知らずに。

その瞬間、高人の回収したロストロギアが魔力光を発し、それぞれが高人の周りに飛ぶ。

「魔力光!?確かに封印した筈なのに……!」

《マスター!対象に強力な魔力が!危険です逃げ…》

その瞬間、高人の頬を鮮やかなピンクの魔力閃光が掠める。

「!?」

「…見ぃーつけた。」

閃光が放たれた位置に目をやると、よく知る人物がニヤリッと頬を緩ませる。

「なのは‥さん!?」

高人が名前を呼んだ瞬間、再びなのはの砲撃魔法が高人に向かって放たれる。

「くっ…イザナギ!!」

《プロテクション》

バチッ

透かさず、高人もなのはの砲撃を防御魔法で受け止める。

だが…

「バルディッシュ…」

《イエッサー》

高人の背後には、バルディッシュを高らかに構えた金色の少女が迫る。

「ふ…フェイトさん!?」

「はぁぁぁぁぁ!!」

《ハーケンセイバー》

驚愕する高人を無視し、フェイトは高人に目掛けてバルディッシュを降り下ろす。

《プロテクション》

が、フェイトの斬撃はギリギリのところで受け止められる。

「フェイトさん!何をやってるんですか!?それになのはさんも…」

二人の攻撃を防ぎながら、高人は声をあらげた。自分は今の今までロストロギアの回収にあたっていた。それに二人は…

[…いや、二人はこんなにまで…]



「よそ見してたら駄目だよ!」

砲撃を放つなのはの背後には無数の魔力スフィアが生成される。

「バルディッシュ…」

その瞬間、斬りかかっていたフェイトも高人から離れ、なのはと同じく魔力スフィアを生成する。

「行くよ…全力全開!!」

「ファイアーーッ!!」

高人がなのはの砲撃を受けるのに精一杯と見た二人は同時に魔力スフィアを放った。

「…真義…灯籠流し!!」

その刹那、高人は防御魔法を一旦解き、なのはの砲撃魔法を一瞬にして相殺する。

「うそっ!?」

「はぁぁぁ!!」

砲撃魔法を相殺された事に驚くなのはを他所に、続いて高人は自分に迫る無数の魔力スフィアをすべて叩き落とす。

「…そんな…」

驚愕する二人を見ながら、高人は冷静さを保っていた。

「イザナギ…あれは…何でしょうか?」

《恐らく、回収したロストロギアの投影魔法から産み出された二人のコピーかと思われます》

「という事は、私の封印が甘かったのですかね…」

《いえ、ロストロギアがすべて揃った時に発動する一種のトラップだと思われます》

「全く…なんて悪のり趣向なトラップだ。よりにもよってこの二人を…」

イザナギの見解は的を射てる。高人は直感的にそう感じていた。
なにより、先ほどの二人の攻撃には互いを信頼し合った連携技を一切感じなかった。
それぞれが相手を利用して放つ攻撃。普通、あの二人なら馬鹿げてる連携技を駆使して自分に迫ってくる筈だ。
今でも、彼女達と初めて模擬戦をした時の記憶は思い出しただけでも寒気がする。

「まぁ、とにもかくにもあの二人を倒さないと任務を達成できない訳ですね」

そう言って高人はこちらを見据える二人に向かってイザナギを構える。

「ロストロギアを…渡して…」

「それは大切な物なの!!」

同じく、二人も高人に向かってそれぞれのデバイスを構える。

「イザナギ!」

《はいマスター!》

「レイジングハート!」

《スタンバイレディ!》

「バルディッシュ!」

《イエッサー》

その声が空に響いた瞬間、三人の魔力はぶつかる。

「はぁぁぁぁぁ!!」

まず最初に突貫してきたのはフェイト。刃を立てバルディッシュを高人に振り下ろす。

《プロテクション》

しかしそれはイザナギの防御魔法に受け止められる。

そして

「フェイトさんの容姿をした者を倒すのは正直嫌なんですが…」

イザナギを構え、高人は苦笑混じりにそう言う。

《チャージエクステンション。フルドライブ》

「一撃で…」

そのとき、

「ディバイーーン…」

「!?」

図上から聞こえたそれは、既に高人を捉えている。すかさずフェイトは高人から離れる。

「バスタァーーーッ!!」

高人がイザナギを構え直す瞬間、その制空は桜色の閃光が駆けていた。

爆散する音が響いたと同時になのはとフェイトは冷ややかな目を高人がいた場所に向ける。

だが、

「ふぅ…危ない危ない…あと少し遅かったら当たってましたよ…」

その声が響いたのは、爆煙が舞う場所じゃなく

「「!?」」

「あの二人ならこんな容易く背後には回り込めませんよ。」

そう言う高人の体には傷ひとつ付いておらず、その表情はどこまでも余裕で満ちていた。

「くっこの…」

それを見たなのはは即座にレイジングハートを構える

「今度こそ当てる…全力全開…スターライト…」

魔力がレイジングハートに収集されて行く。

だが…

バチン!

構えられたなのはのレイジングハートの先端部分に高人の手が添えられた瞬間、弾くような音が響く。

「!?」

「確かに、貴方の砲撃魔法は強力です…。しかしいくら砲撃魔法が強力でも、発射する前に頭を押さえてしまえばどうということはない。」

「…発射する直前に私の集めた魔力を相殺したの!?」

驚愕するなのはを見ながら、高人は険しい表情を見せる。

「まぁ、今のなのはさんにそんな事をしたら片腕は軽く持っていかれますが…」

そう言いながら、高人はレイジングハートに添える手に力を込める。その瞬間、バキンとレイジングハートの本体は砕け散った。

「レイジングハート…!?」

「はぁぁぁぁぁ!!」

砕かれたレイジングハートを見ながら硬直したなのはを高人は一気に吹き飛ばす。

「あぁっ!!」

「…これで!」

吹き飛ぶなのはを捉えた高人は魔力スフィアを生成する。

だが…

「ファイア!!」

「!?」

最初の一撃は回避したものの、真下から黄色い魔力スフィアが高人に向かって次々と放たれて行く。

「くっ…質が悪い!!イザナギ!」

《ダブルアーツフォーム》

それと同時に一刀のイザナギが二本に分かれ、高人がなのはに放とうとした魔力スフィアをフェイトの魔力スフィアに向けて放っていく。

だが、魔力スフィアを撃墜する高人の一瞬の隙を突いて、フェイトは高人の懐に飛び込む。

「雷光一閃…ハーケンセイバァァーッ!!」

「ぐぁ!!」

フェイトの攻めで吹き飛ばされた高人は直ぐ様空中で体制を立て直すが…



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