リリカルなのは《短編》

□幸せの価値は人それぞれ。
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幸せというのは意外と近くにあるものだ。

それが何なのか、どれくらいの価値なのかは人それぞれで異なるけれど、


「……ギンガさん」

「なぁに?高人さん」

私の場合、大好きな人に名前を呼んでもらえる事が一つの幸せだ。

高人さんと一緒にいるだけで幸せ。


話せるだけで幸せ。
手を繋ぐだけで幸せ。
キスをしてくれた時はもっと幸せ。


「呼んでみただけです」

「えへへ…。そうなんだ」

ほら、こんなにも私の周りには幸せが溢れている。
今みたいなやり取りが私をもっと幸せにして、心が暖かくなる。

その度に私は高人さんが大好きなのだと再認するのだ。

だから、


「高人さん」

「はい、何ですか?ギンガさん」


大好きな人に触れるだけのキスをして。



「……呼んでみただけですよ」

「…くす。そうなんですか」

「そうなんですよ」



大好きな人の優しい笑顔を見て。



「なら仕方ないですね」

「うん、仕方ないですね」


もっと体を寄せ合って、二人で幸せを感じたい。
それがどんなに小さな幸せであろうと、私にとってはとても貴重な価値なのだから。



「高人さん……」

「ギンガさん……」



そんなことを思って名前を呼び合えば、ほら――。
――幸せがまた一つ、私たちに訪れてくれた…。













「………」

「………」

「……よろしくやるのはいいんだけど…」



沈黙を破り、それを言葉に出したのはクロノ。



「作戦会議中なんだよね、今は」

「……お前ら、つうか高人。そんなに親友の仕事潰したいわけ…?」


現在会議室、機動六課作戦会議。

隣通しをいいことにピンク色の固有結界(ITフィールド改め『Unlimited ITYAITYA Works』)を展開する二人に 会議室中から切ない目が向けられるのも、今となっては日常茶飯事なのである。


「――うぁ…」

「!皐ちゃん!?駄目だよ!しっかりして!!」


――ほら。
――ピンク色のオーラにあてられて、哀れな犠牲者がまた一人……。


「ふっ…。あとは頼んだぞ、皆――」

「皐ちゃん……?皐ちゃぁぁぁぁん!!」


機動六課は本日も平和だった。




end

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