じょうしま家

□刮目。
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早朝。


新聞を広げて、城島カナンは刮目した。

「………」

父譲りの紅いの瞳を光らせ、ただ事ではないといった表情で見る、見る……。




「おはようシグナム。…一体、カナンはどうしたんだ?」


そんなカナンから少し離れた所で、今起きてきた高人は何やら複雑な表情で我が子を見ていたシグナムに尋ねた。

「あ、おはよう…高人。」

愛する夫からの挨拶でシグナムはハッとし、高人に挨拶を返す。

だが、表情は変わらない。

その事を不思議に思い、高人は問いの対象を妻に変えた。

恐らく、妻の話を聞けば娘の異常な表情について分かるかもしれないと思ったからである。

「…シグナム、何かあった?」

「…何でだ?」

「なんだか、難しい顔でいるから…。折角の可愛い顔が台なしですよ?」

高人の言葉に、シグナムは頬を染める。

「バカ…朝からなに言ってる///」

「だって、気になるじゃないか」

心配の色を浮かべながら言う高人を見て、シグナムはちら、とカナンのほうへ視線を移し、高人に答えた。

「……私は何でもないんだが…」





「…カナン?」





シグナムの視線の先を見ながら、高人は娘の名を呟いた。

カナンは高人とシグナムに気付いた様子もなく、ただ黙々と新聞に目を通している。

「やっぱり、カナンが関係しているのか?」

高人がシグナムに聞くと、シグナムは小さく頷いて、言う。

「なぁ高人?」

「うん?」

その整った顔に、一抹の不安を浮かべながら。









「…新聞のテレビ欄の深夜アニメを、何かに取り付かれたかのように熱心に見る我が娘に、私は何て声を掛ければ良い…?」







「………あ〜…」






シグナムの言葉に、高人は言葉を濁した。

それは本当に、どうしたものかと思ったからである。


「……えぇと…」

「どうすればいいのか…」


少しばかり途方に暮れながら、二人は我が娘を見つめた。

その二つの瞳に映る感情は、


『アニメを見るのは全然いいけど…どうか、[作者]みたいにはならないで下さい』


という切実な願い。

そんな両親の心配を余所に、肝心のカナンはというと……


「野球中継、今日も延長するのかなぁ…」


なんて、放送時間の延長を心配してましたとさ。





end

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