リリカルなのは《短編》

□夢轍。
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「サンダーレイジ!!」

フェイトの連続技は、高人の体は捉えていた。

「…!」

回避行動に移ろうとした高人だったが、フェイトの攻撃はすでに届こうとしていた。

「…真義…六天…神凪!!」

その刹那、高人はイザナギを構えフェイトに向け、自分の斬撃を飛ばす。
その衝撃でフェイトのサンダーレイジは掻き消された。

「!?」

「その程度で…」

その瞬間、高人はフェイトの前から姿を消し…

「私を倒すつもりですか?」

回り込んだフェイトの背後で静かに呟く。

「ッ!?」

直ぐ様フェイトも対応に入ろうとするが

「…沈め。ファントムディストラクション!!」

高人の紅い閃光が空を駆けた。

「…これで…」

高人がやりきったような表情をしてイザナギに込める力を緩める。

「ま、まだ…まだぁぁぁ!!」

だが、二人はボロボロになりながら高人に向けてデバイスを構え直す。

「……もう終わりです。貴方達では私は倒せませんよ」

「そんなの…まだこれから!」

「私も…ロストロギアを諦める訳にはいかない……母さんの為にも…」

二人はデバイスを構え高人を見据える。

[……そうか。この二人は…私と出会う前の…]

こんな無謀な戦い方をする二人は見たことがない高人は、ロストロギアによって投影された二人が過去のものだと気づく。

「…二人とも、とても寂しい目をしてる…」

「ディバイーーン…」

「ハーケン…」

高人は構える二人にゆっくりと手をかざし力を込める。

その刹那。

「なっ…体…が…!?」

「動か…ない…!?」

デバイスを構えた状態で二人の体は硬直する。

「先ほど、二人と一戦交えた時に体の筋に細工を施しました。今の貴方達の体の筋は硬直し、動く事はできない…。」

そう言いながら、高人は自分のデバイスを構える。

「イザナギ。セイクリットフォーム」

《はい。マスター》

その瞬間、ダブルアーツフォームだったイザナギは一つに重なり、魔力を集めて行く。

「…一撃で決める。」

いくら投影魔法で投射された二人だと言っても悲しい顔を見るのは辛い。高人はイザナギに力を込めた。

「真義…六天楼神凪!!」

それと同時に、投影された二人がいた空は、紅い閃光に包まれた。

















「城島高人、ロストロギア回収任務から帰還いたしました。」


時空巡洋艦アースラの中で艦長であるリンディに敬礼する。

「ご苦労様、高人さん。それにしても嫌な戦いをさせてしまったわね」

「いえ、ロストロギアにこういうトラップが仕掛けられてるとは考えても無かったので…」

すまなさそうなリンディに高人も苦笑を漏らす。

「けど高人さんもちゃんと二人を見てるんですね」

「え?」

「初めから二人が投影魔法で作られた幻影だと分かっていたのでしょう?」

「あ…まぁ確信は無かったんですが…」

「けど、直ぐ様それを見抜いたことは、ちゃんと二人を見てる証拠よ?」

「そうですか……確かに、二人は私にとって欠け替えの無い、大切な人ですから」

そう言って、高人はリンディに微笑んだのだった。
その笑顔は、大切な娘を見守るような優しい微笑みだった。








その後、はやて宅に戻った高人がなのは達にお疲れさまパーティーで揉みくちゃにされるのは、また別のお話。


END
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