リリカルなのは《短編》

□フェイトさんの場合。
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※注(思いっきり1裏です。)

制作協力者:赤疾駆さん













「シャーリー、今日の予定はどうなってる?」

「はい。今日は聖王教会の騎士達からの定期報告、それに各部隊隊長との会議と臨検です」

朝、管理局でおいしくもないコーヒーを飲みながら、今日の予定を確認していく。

まだ、休みたがっている頭をコーヒーで覚ましている彼女は、管理局筆頭のエース、フェイト・T・ハラオウン。

彼女は高町なのはと肩を並べる戦闘能力を持ち、管理局でも地位のある人間の一人である。

よって、地位の高い者にしかできない仕事が必然的に他の局員たち以上にある。

それは、とてつもなく忙しい。

フェイトが忙しいということは、その補佐官をしているシャーリーも当然そのほとんどの仕事に追従している。
といっても、フェイトよりも忙しいわけではないし、彼女の仕事ぶりを見ていると自分の仕事なんて大したことがない。

そう、思えるほどの仕事ぶり。

「…それよりも大丈夫ですか?フェイトさん。顔色がわるいみたいですけど……」

「え?あ、ううん。私は大丈夫よ?」

「でも…」

彼女の顔には隈が出ていた。
やはり、疲れが溜まっているのだろうと思った時。

《Bad Condtion》っと

普段、寡黙なデバイスのバルディッシュがフェイトの不調を申告したのにはとても驚いた。

「バルディッシュ!…本当に大丈夫ですから。そんなに気を回さなくて大丈夫だよ?」

しかし、そうは言われても、フェイトの顔色が優ていないことは明らかだ。それは、私だけでなく周りで働いている局員達も、一目で分かるほどだった。
それに、彼女のデバイスが言うなら、よっぽどだ。

「…じゃあ、シャーリー。そろそろ行こうか」

そう言って立ち上がり歩こうとするが

「ですが…。って、フェイトさん!足がふらふらじゃないですか!?と、とりあえず座ってください…」

おぼつかない足取りで今にも倒れそうなフェイトを、シャーリーは急いで椅子に座らせた。

「シャ、シャーリー!?わ、わたしは大丈夫だよっ!」

《Recommended rest(休むことを推奨します)》

ええ、本当に大丈夫だから!
ただいつもよりも少しだけ体が熱いとか。いつもよりちょっとだけ喉が痛いとか。なんとなく頭がぽ〜っとするな、とか。本当にそれだけですから!
バルディッシュも!私は大丈夫だから!

なんて、早口で二人に言ってみたが。

シャーリーは私がブンブン振っている手を制して椅子から立ち上がらせてくれない。

しかし、私の意図とは別にシャーリーはやっきになって言う。

「フェイトさん!今日はもうお休みになって下さい!最近は休日出勤も多かったですし…。今日の予定はほとんど後回しでも大丈夫ですから、体を大事になさってください。御自分のデバイスが忠告しているくらいなんですよ?」

《Agrees too(彼女と同じ意見です)》

「…大丈夫だから。二人とも。これは、私の、仕事だ、…か……ら…」

その瞬間、フェイトはドサッと管理局の床に体を倒した。

「きゃー!フェイトさん!フェイトさん!!」

「うう〜…」

ああ…視界が徐々に暗くなって……シャーリーが三人も…。

バルディッシュなんて宙を待ってるや…

えへへ。

《Have proposed(提案があります)》
















《蒼く澄んだ瞳に浮かぶ〜♪》

「…zzZZ……」

携帯の着信音がとある部屋の机の上で響いている。
しかし、残念ながらこの部屋の主は久しぶりの休日ということなので未だベッドの中で夢に浸っていた。

《君へと続くこの記憶は決してなくすことないよ〜♪》

しばらくすると着信音が鳴り止んだ。
機械的な留守番メッセージの後、留守番電話に切り替わった瞬間に女性の声がした。

《高人さん!起きて下さい!》
「…zzZZ……」

電話を掛けた女性はフェイトの補佐であるシャーリーは普段は出さないような声の大きさで呼び掛ける。だが、生憎と昨夜は徹夜寸前まで自分の店の確定申告やらの業務をこなしていた高人は起きる気配すら見えない。

《高人さん!》

「…zzZZ……」

徹夜明けの睡眠とは、言うなれば底なし沼と同意。

一度寝たら、ずっと寝てしまう。

あれほどの音でも寝ているのだから、多少の音で起きるはずがない。

しかし、シャーリーにとってフェイトの一大事なのだから必死。

絶対に諦める訳にはいかなかった。








《高人さん…。ヴィヴィオちゃんのお料理……》

「うわぁあぁぁあぁ!!?や、ごめんなさいぃぃ!」

《マスター!?どうされました!?》

ボソッと呟いたシャーリーの一言。
それは凄まじいほどの効果を発揮し、さっきまで起きる気配すらなかった高人の頭を完全に覚醒させた。

余りの高人の大声に待機モードになっていたイザナギが心配して、布団にくるまって震えている高人の周りをふわふわを漂う。

《おはようございます♪高人さん》

「はぁ…はぁ…はぁ…。っく、はぁっ…っ!…あれ?シャーリー?どうかしたの?」

《はい、急ぎのお願いしたいことがありまして》

「お願い?しかも、急ぎで?」
《えぇ、実は……》











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