ガンダム00@
□僕が在る理由
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「あ・・・アーデさん・・・ひっく!助けてくださひっく!・・・うぅ」
ミレイナが半泣きで駆け寄って来た。ひっくひっくとどもりながらティエリアに助けを求める。どうやらしゃっくりが止まらないようだったが、ティエリアはこれまでしゃっくりという状態を良く知らない。
その為、ティエリアの口をついて出たのは疑問だった。
「・・・どうした?新しい語尾か?」
「ぜんぜん違うでひっく!違うですぅ!しゃっくりですうぅ!」
どうやら新しい語尾ではなかったようだ。その後自分の中の知識から「しゃっくり」という言葉が出てきたのは数秒後。
「あぁ、しゃっくりか」
「ぅう・・・そんな他人事みたいに・・・ひっく」
必死でしゃっくりを止めようとするミレイナが可愛いくて笑ってしまった。
しゃっくりをする度に揺れる髪の毛も、ふわふわしていて触りたくなる。
「・・・確か、驚くと止まるんだったか」
「はい・・・驚かせてくださひっく!・・・ですぅ」
「まったく・・・簡単に言うが中々難しいんだぞ?」
涙目で頼まれては仕方がない。
しかし、驚かせるにはどうしたらいいのだろうか。
後ろから背中を叩けばいいのか?いや、今はミレイナの正面に立っているからそれは無理だ。却下。寧ろ息を少しの間止めてしまえばしゃっくりは出なくなるんじゃないか。だが苦しそうなミレイナは見ていられない。却下。じゃあなんだ、大きな声をだせばいいのか?いやそれはちょっと恥ずかしい・・・って何を考えているんだ僕は!ミレイナがこんなにうるんだ目で助けを求めているというのに自分のことなんか考えて!
「・・・さん!」
あぁなんという失態だ、すまないミレイナ。僕は君の
「アーデさん!・・・ひっく」
ミレイナの呼ぶ声でティエリアは我に返った。
「!!ミレイナ・・・」
「どうしたですか?さっきから黙りこんでひっく!・・・そんな見つめられるとはずかしいですぅ」
気が付くとティエリアはミレイナの肩を両手で掴み、彼女の顔を見つめていた。
そしてそのままミレイナの顔を見つめ、ふと思いつく。
「・・・そうか」
「え?」
「・・・もしこれでしゃっくりが止まったら怒らないでくれ。止まらなかったら怒ってくれていい」
「??・・・アーデさ・・・っ!?」
無理矢理ミレイナの口を塞いだ。
自分の唇で。
ミレイナの瞳が驚きで見開かれるのが分かった。
しゃっくりの声もしない静かな時間が数秒過ぎる。ティエリアが唇を放してミレイナを見ると、その顔は真っ赤だった。
林檎のようなその顔があまりに面白いので思わず微笑む。
「ほら、静かになった」
「あ、アーデさんのいじわる・・・いきなりだなんてシチュエーションも何もあったもんじゃないですぅ」
「なんだ、シチュエーションなんて気にしてたのか」
「気にしてたですけど・・・アーデさんならオールオッケー結果オーライです!」
ミレイナに笑顔が戻った。太陽のように暖かくて明るい。
この笑顔に何度、癒されたことか。
「その笑顔を待ってた」
この笑顔こそが僕の居場所。
存在理由そのものだ。