ガンダム00@
□同じ願い
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『同じ願い』
「大佐、今度の対ガンダム戦で戦果をあげたらキスしてください!」
「何馬鹿なことを言っている。そんなことを考える余裕があるなら鍛錬でもしたらどうだ」
子供のような目でアプローチしてくるパトリックを、ため息をつきつつカティがあしらう。いつもの食事の光景だ。
パトリックは昼食の時間にカティを見つけると許可も無しに毎回彼女の隣に座ってくる。最初は全力でそれを拒否していたカティだったが、しつこいパトリックを前に諦めて受け入れることにした。
―それに何故か奴を放って置けない。・・・全く妙な男だ。
そんなカティの心情の変化にも気付く様子のない呑気な男は、楽しそうに喋る
「じゃあ今度食事でも」
「食事なら今一緒にしているではないか」
「そうですけどぉ・・・」
「これから仕事があるのでな。先に戻るぞ」
食事を早々と片付けたカティが自室に戻るために立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってください大佐!俺も一緒に行きます!・・・むぐっ!」
「自室にまでついてくるつもりかお前は?」と微笑んだカティは、焦って料理を丸のみしているパトリックを尻目に食堂を後にした。
何故か暖かな気分だ。
早く世界が平和になれば良いのに、とふと思った。世界が平和になれば、パトリックが危険に晒されることは無いのに。
戦場では全ての兵士に平等な戦術予報士も、戦場から離れれば別だった。やはりパトリックを優先に、と考えてしまう。
もしかしたら彼女もこういう気持ちだったのだろうか。
かつては同じ軍に在籍し、共に誓った仲間。
しかし、今は倒すべき敵として前に立ちふさがって来てしまった。
「クジョウ・・・」
きっと彼女がソレスタルビーイングに入り戦術予報をしているのは、恋人エミリオを亡くしたからなのだろう。
だが、いかなる理由があったとしても今は敵となってしまったのだ。
ソレスタルビーイングは倒すしか無い。クジョウを・・・殺さねばならない。
―仲間なのに、願うことは同じなのに、戦わなければならないのだな。
私達がガンダムを倒し、喜んでいるころ、きっと彼女はそのパイロットを想って泣いているのだろう。
自分の予報のせいだと、泣いているのだろう。
あの子は、優しい子だから