ガンダム00@

□待ってる
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『待ってる』






『討つというのか!同類を!』
頭の中で反響する言葉。先程の戦闘で撃墜したイノベイターの言葉だ。
「イノベイター・・・」
計画の為に作られた存在。今までそれは自分一人だけだと思っていた。

そして自分がそのような存在であることを忘れかけていた。人の優しさにあまりに触れすぎてしまったのかもしれない。
自分と同じ容姿のイノベイターを見たとき、自分は人間ではないということを嫌というほど思い知らされた。
そして僕はイノベイターを・・・『同類』を・・・

ティエリアは強く唇を噛む。

―この期に及んでまだ迷いが残っているというのか・・・自分は・・・ッ


僕は人間だ。少なくとも彼等よりは・・・


「アーデさん?」
緊張感が無い声が響いた。振り返るとミレイナが心配そうな顔をして立っている。
「どうかしたですか?なんだか辛そうですぅ」
「・・・なんでもない」
ティエリアがそう言って目をそらすと、ミレイナは怒っているような悲しいような、複雑な表情をした。
「なんでもなくないです!最近アーデさんはおかしいです・・・凄く不安定でグラグラしてて・・・」
「・・・っ」
ミレイナの目を見ることができない。彼女に嘘をつく事が辛かった。
それと同時に、未だ感情の揺れている自分に激しい怒りの感情がわく。
「何でもミレイナに言って欲しいです・・・大切な人だけに辛い思いはさせたくないです」

「人間でなくてもか?」

それは、ティエリア自身への攻撃の言葉だった。
「・・・ぇ?」
「僕が人間でなくても、君は僕を『大切な人』だと言えるのか?・・・『仲間』だと言えるのか?」
ティエリアは自分で自分を嘲るが如く、絞り出すように言った。
その怒りをも含んだ声音にミレイナが驚くのがはっきりとわかり、その表情はどこか悲しげにも見えた。

違う

こんな表情が見たいんじゃない

それに、人間でないからといって「仲間ではない」と言い出すような人はトレミーにいない事も分かっている
ただふがいない自分自身に苛ついてミレイナにやつあたりをしてしまった。守るべき存在を傷付けてしまったかもしれない

そう思った瞬間に今まで感じた事の無いほどの恐怖と後悔が襲った。

「ミレイナ・・・・」


ミレイナの名を呼んだ瞬間、ティエリアは彼女に抱き締められた。
この小さな体にこんなに力があるのかと思うほど強い力だった。
「アーデさんはアーデさんです!ミレイナは、ずっとアーデさんの側にいるです・・・いなくなったりなんか絶対にしないです!
だから・・・泣かないで下さいです・・・!」


自分が泣いていることに気がつかなかった。いつから泣いていたのだろう。ティエリアの頬は涙で濡れていた

「アーデさん、いつか決心が付いたらでいいです。きっと話したら楽になるですよ」

そう言ってミレイナは笑った。

「・・・ありがとう・・・」


無理矢理聞こうとしないでいてくれるミレイナの優しさにまた涙が出て、彼女を強く抱き締め返した




落ち着いたらちゃんと言うから

それまで待っていてほしい




アーデさん


ミレイナはどこにも行かずに待ってるです


だから、ゆっくりで大丈夫です


ちゃんと受け止めますから
 

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