ガンダム00@

□ティエミレ
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「出逢いに誓った日」
ソレスタ再建中の妄想(ミレイナは10歳位と思ってお読みください)




なんでこんなことに。
ティエリア・アーデは一人の少女を前にして、珍しく困惑していた。
目の前には眩しい程の笑顔を浮かべた少女、ミレイナ・ヴァスティがいる。イアンの娘ということでソレスタルビーイングにくっついてきたらしい。彼女はしつこくティエリアに話しかけてくるのである。
「綺麗なおめめですぅ!うさぎさんみたいです!」
「・・・僕は兎ではない」
「髪の毛もさらさらですぅ」
「・・・・そうか」
こんな具合に。
「お兄ちゃん、お名前教えてくださいです!」
「・・ティエリア・アーデだ」
「名前まで綺麗ですぅ!アーデさんってよんでも大丈夫ですか?」
「・・・・・・好きに呼ぶがいい」
「アーデさん!とれみーを案内して下さいです!」
「・・・・・・分かった」
「アーデさん優しいですぅ」

「っ・・・優しく・・・なんか」

「優しい」
その一言が耳に残った。聞き慣れない、言葉。
自分は沢山の人を殺してきた。
本当に沢山の人を。
死んでいった人間にはその帰りを待つ家族がいただろう。恋人が、友人がいただろう。殺した人間の幸せだけでなく、その周囲の幸せも
奪ったのだ。
今だから分かる。
ロックオンを、リヒテンダールを、クリスティナを、モレノを失って「死」の哀しみを知った今だからこそ、
ティエリア・アーデが背負う罪の重さが。

だから、自分に「優しい」などと言われる要素など無い。そもそも資格すらない。


「アーデさんどうしたですか?」
下から声が聞こえてハッと我に返る。見下ろすと、不思議そうな顔でミレイナが自分の顔を覗きこんでいた。
「少し悲しそうな顔をしてたです」
「何でもない」
「ほんとですか?」
自分を見るミレイナの瞳は何処までも透き通っているような気がした。
本当にこの子供は何も知らないのか。
死を、哀しみを。

イアンとリンダに愛されて育って来たことが容易に想像出来た。

ソレスタルビーイングにいる者は、誰もが死を覚悟して、それでも世界を変革するために活動している。
だが、今目の前にいる幼い彼女に死の覚悟をさせるにはあまりに残酷ではないか。

ならば

自分がこのちっぽけな存在を守らねばならない。悲しい思いはさせない。させたくない

そう心に誓った。
 

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