血色の薔薇

□崩れゆく日常
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「リフティー。俺、やっぱりお前の事が好き。」



『ごめん。』




96戦96敗、それでもめげずに告白してくる彼シンスは単なる馬鹿なのかそれとも只の物好きなのか……。

私には全くといってその理由がわからないけれども。



これはどう考えてもしつこい。
ここまで来ると多少面倒、対応するのがね。最早この告白が日常と化している気がするのは私だけだろうか。

シンもといシンスと私は所謂幼馴染みと言うやつで、いつからかシンは私にべったりと貼り付くようになった。
どうしてこんなに私に執着するのかは今世紀始まって以来の謎だ。


この村には私よりもっとナイスバディーで可愛らしい女の子がうじゃうじゃ居るというのに。



「……リフ、俺のこと嫌い?」


ほら、今日もこうしてキラキラした瞳で見つめてくる。
この表情を見ることも日常と化しているのは言うまでもない。


『そんなことは…ない、よ?』

なんて言ったってこの顔に私は弱い。
そして私がこう答えることも、最早“日常”。





「じゃぁ、なんで俺じゃ駄目?俺のどこが嫌?」





……しつこいところ。
とは口が裂けても言えない。
正確に言うと嫌いじゃない。
シンは私の幼なじみでずっと一緒にいたけど急に恋愛対象という形では見れっこない。


村で一番強くて、そのおかげで女の子たちにもモテモテで、今週末にはヴァンパイアハンターの試験も受ける。


シンならきっと受かる。


ヴァンパイアハンター試験は尋常じゃないってお兄ちゃんに聞いた。


受かってもヴァンパイアハンターとして働くのは難しいって。


お兄ちゃんもヴァンパイアハンターの資格はもってて
めちゃくちゃ強い。



しかも仲間からの信頼も厚くて

バリバリ仕事をこなしまくってる。




だけど2ヶ月前に死んだ。




純血のヴァンプと殺りあったんだって。





純血のヴァンプ……

とても美しく、何に関しても長けている。
長く生き延び一目見ればその虜になる。
血を吸われれば吸われた人物もヴァンプとなる。

元人間のヴァンプとして
吸血鬼階級最下級に成り下がってしまう。



私はまだ純血のヴァンプは見たことないから
どれほどのものなのか予想も付かない。

村の女の子達はめちゃくちゃ純血ヴァンプに会いたい願望を持ってる仔が多い。





私は絶対会いたいとは思わない。

会ってしまったらきっと、
自分を見失うような気さえするから。





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