tresure&present
□2500キリリク
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広場に人だかりが出来ている。
周りの人の様子からするとヴァンプではなさそうだ。
「だぁーかぁーらっ!さっきっから言ってるだろ!!」
言い争う声。
やっとのことで人だかりから抜け出すと、見えたのはトマト野郎。と女の子。
「……あ、リフーっ!!」
転がったまま私に向かって言うもんだから周りの人の視線が一気に集まった。
それがひじょーに恥ずかしくて、投げた。
何を?
――――トマトを。
どこに?
――――顔に。
誰の?
――――シンの。
ベチョリ。
結果、見事シンの顔面に直撃した。
辺りは静寂に包まれる。
そろーりと周りを見渡すとその女の子とも目が合った。
歳は多分私と同じか一個下位で背丈も同じくらい。茶色い髪で襟足が長め。
美人さんでした。
「ふっ。あんた、リフ言うん?」
笑いながら私に問いかけた美人さんは聞いたことのない訛り方をしていました。
『え?まぁ……。ハイ。えと、シンが…そこのトマト頭が何かしでかしましたでしょうか?』
「あんなー。リフちゃん、聞いてやー?そのトマト頭がな、突然ウチに飛びついて来よったん「だーから!!間違えたの!リフちゃんと。」
「自分の女間違えるって、どういうアタマしてんねん。」
そーだそーだ!!シンの女になった記憶は無いけれども!
「だってさ!見てよ!!髪色も背丈も同じじゃん!」
『そう言われてみればそうなんだけど……。今度から飛び掛るときは相手をちゃんと確認してからにしなよ。まったく。』
「リフちゃん、えぇの?許しちゃって。自分の女間違えたんやで?」
『ただの幼なじみなんで、そこんとこはもういいかな……と。』
シンが『幼なじみ』と言う言葉に反応したのは言うまでも無い。
「リフちゃんがえぇなら……。そうだ、ウチ実里言うねん。ほな宜しく!」
そう言って実里さんは微笑んだ。
美人さんやー(←関西弁うつった。
この騒動の後、私と実里さんでお店巡りを
し、久しぶりの同年代の女の子とのガールズトークで盛り上がったのでした。
勿論、シンは置いて。
因みにトマトをくれたおじさんのお店で晩御飯の材料を買って帰りました。
勿論、荷物もちはシン。
おじさん、トマト投げちゃってごめんね。
……そんな濃ゆい一日でした。