小説:自重シリーズ

□斗え!某中映画研究会☆B・B夜スペシャル☆
1ページ/5ページ

 
 とある都市の主要駅にほど近いその場所に、それは有る。

 ここは、とある公立中学校。
 生徒数500人強のどこにでもある様な学校だ。

 その日も、いつもの授業が終わり、放課後の喧騒が校内に響いている。



 特別教室棟二階。
 隣接する管理棟の手前に第一、その奥に第二理科室が位置する。
 その教室前、リノリウムの廊下を駆け抜ける三人の生徒がいた。



「全く…何で今日に限って日直なんだよ…」

 そうぼやき、先頭を走る茶髪の男子生徒の名は、伊賀英士。
 ちなみに茶髪は生来の色である。(担任以外の先生に説明すんのがかなり疲れる、とは本人の弁。)

「そういや…小学校ん頃から早く帰りたい時に限って日直だの委員会だので残されてたよなぁ…英士は。」

 ため息を洩らす短く刈った赤毛の男子生徒が、赤羽烈。(某激青とは関係無し)
 やはり赤毛は自毛。

「烈…!やっぱり小学校の頃から英士と(性的な意味で)深い関係に…」

「「なってねぇ!!」」

 この、変態寸前発言をした黒髪の男子生徒が、青山大。
 くどい様だが髪は(以下略)
 
 
 
 そんな三人が向かっている場所とは…

 特別教室棟二階の二つの理科室の内、手前側の第一理科室は科学部(と言っても、スライム作ったりカルメ焼きを焼く程度の実験しかやっていないが)が利用している。
 その隣、第二理科室は、つい一昨年まではどこの部活も使用していなかった。

 が、現在。

 英士が勢い良く第二理科室のドアを開いた。
 カギは開いたままである。

「悪ぃ、遅れた…って誰も来てないな…」

 確かに、光源が外の明かりのみの理科室の中は、人気も無く薄暗く、棚には、実験器具や電源装置等が並ぶ第一理科室に対し、地層の模型や岩石標本、音叉や光源装置等が厚く埃被っている。

 最後に入った大がドアを閉める。
 その直後、

「さぁて…今日、どんな事があったのか…んっ…教えて欲しいな。その身体で…ああ…」
「学ランを脱ぎ出すな。いつもの事ながら…」

 頬を赤らめ、瞳を潤ませてハァハァしながら学ランのボタンを外しだす大に、ピシャリとツッコミが入る。
 人生色々あって不登校ゆえに放課後にしか姿を見せない彼だが、年中絶倫状態というキャラのエンジンのかかりは早い。
 
「電気付けっぞー?」

 烈が照明のスイッチに手を掛ければ…

「そっかぁ…烈は電気付けてするのが好きなんだぁ…んふっ…知らなかったぁ…」
「あーもう、大、紛らわしい事言ってねぇで座ってろって…いつもの事だけどよ…」

 英士と烈の心に既に芽生えた一種の諦念であったとか。

「…んじゃ、三人しか居ないけど挨拶すっか?」
「一応しとくか。英士部長。」

 そこはかとなく重い腰を上げ、英士は教卓の前に立つ。

「そんじゃ、これから、映画研究会を始めまーす。」

「「「お願いしまーす」」」

 説明しよう。
 この中学校の部活動は、「部」と「同好・研究会」の二種類に分けられるのだ!
 部は原則毎日活動、同好・研究会は原則週一回の活動となっており、部と同好・研究会は掛け持ちが可能だ。
 この映画研究会は、昨年出来たばかりの研究会であり、活動内容は映画鑑賞、映画のレビュー作成、月一回の映画鑑賞会(映画館で)他。
 (物好きな)部員は、部長の伊賀英士(二年)を始め、現在七人。

 …え?三人しか居ないって?
 
 
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ