小説:自重シリーズ

□斗え!某中映画研究会☆B・B夜スペシャル☆
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「ワリぃ!遅れてごめんな!」
 そう言って第二理科室のドアを開けたのは、鮮やかな赤髪の男子生徒。

「ちょっとコン部(コンピューター部)の方に捕まってたんや〜…ソーリー部長…」
 次に入ったのは、緩くウェーブのかかった金髪のやはり男子生徒。

「…強制連行…感心しないな、護、悟…」
 前述二人に引っ張られ、深蒼髪に縁無し眼鏡の…やっぱり男子生徒が現れる。

「おっせーぞ、石見、薩摩、汐留…」



 先程の三人が、映画研究会の残りの部員である。
 赤髪の男子が副部長の石見護(いわみ まもる)、
 金髪の方が薩摩悟(さつま さとる)、
 不満げな深蒼髪の眼鏡っ子(オイ)が汐留繁(しおどめ しげる)。

 三人とも、コンピューター部と掛け持ちで所属している。

 さて、残りの一人はと言うと…



「うふふふふ…」



「はっ!」
「いる…」
「何だ…この頭痛は…」
「このプレッシャー…化け物か!?」
「わおぅ、まだ死にとぉないで〜…」
「…と、言うより…」

「うふふ…先・輩・方、こんにちわぁ〜…」

『『『ぎゃああああ!!』』』

 少年達の絶叫が第二理科室に響いた…
 
 
 
 現れたのは、一人の女子生徒。
 それも、教卓の下から。

 戦慄に震える部員達の中で、ただ一人平静を保っている者がいた。

 繁だった。

「…日暮里、部活に来たからには…真面目に参加しろ…」

 その台詞に、女子生徒の反応は…

「汐留先輩に怒られちゃった…でもちょっと快・感

 繁は、無言で顔を僅かにしかめた。


 彼女の名は、日暮里仁子(にっぽり ひとこ)。通称ニコ。
 映画研究会唯一の一年生にして紅一点。
 アイドルマニアで自称イケメンハンター。
 ストーカー(本人曰く「追っかけ」)行為は日常茶飯事、イケメン男子生徒の隠し撮り写真を校内で女子生徒に売りさばいて、新入一学期早々厳重注意+親呼び出し+反省文10枚の前科を持つ強者でもある。

「ああ…私的校内イケメンランキングベスト10入りしてる伊賀先輩に、赤羽先輩、青山先輩、石見先輩、薩摩先輩に汐留先輩と一緒に部活…うおお!!私ってやっぱ日本一の幸せ物!乙女ゲーの主人公の気持ちがよっく分かるぅ!!うーん…地球に生まれて良かったぁぁぁ!!(織田裕〇風)」
 
 …などと一人で盛り上がる姿は、何とも恐怖を煽る物であった。 
 
 
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