玉響〜symphonia〜
□月夜語り
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何故か…なんて深く考えたことはなかった。
「…気付いたら好きだったわ。私の知的好奇心が疼くのよ!」
「そんなに遺跡がいいもんかねぇ…」
「いいわよ〜?昔ここで何があったとか、当時の品物とかロマンがあって」
「あたしにはよく分かんないねぇ…アンタや、ハコネシア峠のコットンが持ってるもん見ても、何がいいやらサッパリ分かんないよ。アンタがこの前、渡してたなんちゃらの冠だって、あたしにはガラクタにしか見えなかったよ」
「地の冠…よ。アスカード遺跡から発掘された神官の冠で、その歴史的意義は…」
「そういや、誰かに貰ったんだって言ってたね。物好きなコレクターの知り合いかい?」
「…ッ!」
「リフィル?」
不意に言われて、固まってしまった。
貰った当時のことが蘇る。
「…いいえ」
「ん?」
「ただのコレクターじゃないわ。私と同じ、遺跡調査が趣味な人…だったわ」
「何だい?古代ロマンだけじゃなくて、ロマンスでもあったのかい?」
「貴女、意外と鋭いわよね。…今夜は何だか話したい気分だわ。聞いてくれるかしら?私の…昔話」
「え?まさかホントにロマンスがあったのかい!?…まぁあたしは別にかまわないけどさ。むしろ、ちょっと興味あるし」
「あら、そう?…何から話そうかしら?」
「まずはやっぱり馴れ初めだろ?どういう状況で出逢ったんだい?」
「そうねぇ…アレは………」
アレは5年前。
しいなと同じくらいの年頃だった私は、一人で二週間の遺跡調査に出掛けた。
当時7,8歳だったジーニアスを連れて行くには少し遠くて、コレットの祖母であるファイドラ様や、ロイドの父であるダイクに何かあったら…と、お願いした。
年齢より落ち着いていたし、家事もしっかり出来るから、あまり心配していなかったけど。
そうして旅行に出た先で、私は運命の出逢いをした。
あまり運命なんて信じてなかったけど、あの出逢いだけは、そうとしか思えなかった。