玉響〜symphonia〜
□gently
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それ以上は聞けなくて、わざと全く関係のない話をして、先輩と別れた。
「アンタは本っ当にロクなこと言わないね!」
帰り道、しいなに叱られた。
「しいな〜、それ酷くない?」
「酷くない!…セルシウス先輩がイフリート先輩についてあまり話したがっていなかったの、分かってただろう!?」
「そりゃ分かったけど気になったんだもんよー。しいなは、他に何か知ってんの?」
「…あたしも詳しくは知らないよ。ただ、親同士があまり仲が良くないって噂を聞いたくらいで……先輩が話したがらなかったから聞かなかったんだ」
「しいなちゃん、ホントにセルシウス先輩好きだね」
「…そりゃそうだよ!先輩は色々私を助けてくださったし、技術も素晴らしくて、尊敬すべき人だからね」
「あっ、そう」
「何だい。大人しいじゃないか。駄々こねるかと思ったのに」
「べ〜つ〜に〜〜。先輩を信頼する気持ちも何となく分かるしー。ただ…」
隙を突いて唇を重ねる。
「ちょっ…!」
「先輩のことばかりでしいなの頭がいっぱいになるのは許せないから」
「なっ……ッ…ん……」
俺の居場所も作って欲しい。想いを込めて長いキスをした。
唇を離すとぼんやりとした潤んだ瞳でしいなが見上げてくる。
可愛くて、再び口付ける。
「…ッ。……何考えてんだい。バカ………」
「これでしばらく俺様のことで頭いっぱいになるデショ?」
「ならないよ!あたしだって、そんなにヒマじゃないんだから」
「じゃ、も一回しとく?」
「しなくていいよ!………ちゃんと、アンタのことそれなりに考えてる…し…」
ふと、そんなことを呟く。
「ホントに?」
「…うん」
「いつも?」
「…一応」
俯いているしいなの頬がほんのり赤いので、本当なのだと信じることにする。
「俺様、愛されちゃってるなぁ〜」
ボスンッと照れ隠しに軽く拳が腹に入る。
愛しくて、すごいくせ毛をどうにかまとめている彼女の頭に触れ、ぐしゃぐしゃと撫でた。