玉響〜symphonia〜

□はつゆき
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君が居なくなってから、季節は色を失った。

沢山の女と肌を重ねたが、虚しさが募るだけ。

だれも君がくれたあの温もりは与えてくれなかった。

それでも

君が居なくなったこと、傷付けたことが過去になるならば…

けれど

なるハズもなかった。

君を傷付けた事実は消えない。
後悔ばかりが巡る。

あんなこと言わなければ良かった。

もう二度と誰かのことをあんなには愛せない。

何度後悔しただろうか?
俺は今でも君を求めてる。君だけを。

抱き締めて。抱き締めさせて。
あの優しい手をもう一度。


振り向いた顔が君だったなら、もう二度と離しはしない。

君が居ないと俺の心は空洞だ。
誰よりも君を愛してたからこそ、別れを告げられるのが怖かった。
あんなに愛してた事実、愛されてた事実も、一人になると夢だったような気がしてしまう。
俺の想いはこんなにも曖昧で、こんなにも虚しい。

再び廻り合いたいと思ってしまう

…ズルい俺。

君の温もりが恋しい。

バカでもアホでも変態でも、君のその唇から出た言葉なら全て愛しい。

『雪の日はずっとそばに居てやるよ』

代わりに君の嫌いな雷の日には俺がずっとそばに居るから。

そう言ったら

『…ありがと』

その一言で俺は幸せだった。
ホントは…雷でなくたって、そばに居たい。

今さらなのに。
あれだけ傷付けたのに。
逃げただけなのに。

…再び別れの時が来ようとも今の、君を傷付けたことを後悔する痛みの方が強いと思う。

また出会えたなら、もう俺は逃げない。
君を傷付けないとは断言出来ないけど、こんなことはもうしない。したくない。

消せない想いの炎は燻り続けて、何かのきっかけで爆発しそうだ。

後悔しながら色のない季節を生きるくらいなら、現実に向き合って甘い痛みを感じている方がいい。

この街に再び舞い降りて、俺の心を溶かして。












雪の街の中、見覚えのあるスカイブルーのマフラー。
今度こそ。

「ゼロス…?」

振り向いた君。
雪の季節が終わる。
俺の凍った心を溶かすその眼差し。

何があろうと、絶対にもう君を離さないから。



<おわり>
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