玉響〜symphonia〜
□present
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家に帰って、可愛らしい袋を開けると、中から小さな箱が出てきた。
更に中には…
指輪!?
嵌め込まれたピンクの天然石が美しい。
ど、どういうつもりで…アイツ……。
恐る恐る指に入れてみる。
小指には大きい。両方やって、諦めて、中指に入れようとしたら…小さい。更に人差し指……無理だ。
まさか…!!
ゴクリと生唾を飲み込み、薬指に入れてみる。
…ピッタリだった。
あたしのボロボロの指には勿体無いくらいに繊細な指輪。
うっとりと、凝ったディテールに見とれた。
いやいやいやいや…ちょっと待てあたし!
指輪ってガラじゃないだろう!?
しかも薬指って…ナイナイナイナイ!
こんな高そうな物、不似合い。
でもせっかく貰ったんだし置いておこうか…。
指から抜いて箱に戻し、机に置く。
夕食を準備したり、宿題をしたり…気にすまいとするのに気になって、何度も箱に手を伸ばしては引き、やっぱ無理で箱を開けては美しさに心奪われ…。
「なんで…」
こんな物をくれたんだろう?
学校に行ったら、アイツはいつも通りで、色々考えてた自分が馬鹿みたいだった。
「しいな〜!ノート貸っして〜♪」
「だからなんでアンタはいつも、あたしのノートを借りる必要があるんだい!」
「前から言ってるでしょー。女の子見てて書けてない所があるって」
…コイツは変わらないね。
それがありがたくもあるけど、少し腹立たしい。
「呆れた男だねぇ…。勝手にしな!」
ノートを渡す。
「ありがとー。さっすがぁ」
「何がだい。このアホ!」
こんなアホに振り回されてる自分はなんなんだろう?
指輪に…深い意味なんてないんだろうに一人ドギマギしちゃってさぁ…馬鹿馬鹿しいね。
「しいな、私も後でノート貸してもらえないかな?」
「どうしたんだい?コレット。珍しいねぇ」
「えへ、ちょっと書きそびれちゃって…」
「ゼロス!書き写し終わったら、コレットに渡してあげな」
「はいは〜い」
「あ、そういえば…コレット、あのさ…」
「なぁに?」
聞こうか聞くまいか…でも…
「ど〜したの〜?しいなチャン」
「アンタには関係ないよ!その…」
…ゼロスには聞かれたくないね。
「うん?」
「あ、あー…ちょっと…」
教室の隅に連れていき、耳打ちをする。
こんなこと聞くのは恥ずかしいね…。