玉響〜symphonia〜

□choose
3ページ/6ページ

ホントに分からない。抱き締められて嬉しい自分も居るし、そんなことされたくない自分も居る。

「分かんないよ………」

そっと優しく、ゼロスの長い指が涙を拭う。
指に付いた水滴を舐める。

その仕草に目を奪われた。

「しいな…?」

「…ッ!」

顔を見られたくなくて、ゼロスの顔を手で押しながら、視線を逸らした。

「ぶっ…しいなぁ〜?」

「こっち見るな!離れろ」

強がりだと、自分でも分かってる。

「泣いてんじゃん!」

「泣いてない!もう平気だからっ!」

「…素直じゃねーの」

「なんだってぇ!?」

あ、しまった…!
自分から顔を戻してしまった…。すぐに背ける。

顔を押さえ付けていた手が剥がされ、そのまま引き寄せられた。

「しいなちゃ〜ん素直になりなってのー。泣きたいんでしょ?俺様の胸の中で気の済むまでドーゾ」

「違うって言ってるだろ!?このバカッ!!」

涙が引っ込んでしまった。
そもそも何であたし泣いてたんだ?

「泣かせちゃった責任はちゃんと取らないとね〜」

「別にアンタのせいじゃ…」

…いや。ゼロスのせいだ。
いきなりあんなこと言うから…。

「…イライラ、するんだろう?」

「あれはだから謝ったじゃん。言葉のアヤよ」

「うそつけ!あんな真面目な顔して言ったってことは本気だろ?」

「そりゃ半分くらいはね」

「あとの半分は?」

「俺様のワガママ」

「はぁっ!?」

意味の分からない奴だ。

「しいなが、俺様以外のことを気にしてるのが気に入らないのー」

「なっ…」

「俺様のことだけ気にしてればいいの!」

「意味が分かんないよ!」

「激ニブしいなー」

子どもみたいに拗ねた口をきく。

「なんなんだい!あたしなんかが気にしなくても、アンタには気にしすぎなくらいに気にしてくれるハニーが沢山居るだろう!?」

「しいなのバーカ」

「バカぁっ!?馬鹿って言うんじゃないよ!馬鹿って言った方が馬鹿なんだからねっ!!」

「そうなの。俺様バカなの。しいなバカなの」

「アンタと話してると訳が分かんなくなるよ!」

「ホラやっぱり。分かんないなんて、しいなちゃんも馬鹿だねー」

「アンタが支離滅裂な意味の分からないことを言うからだろう!?」

「しいなこそ!」

「あたしは別に訳分かんないことなんて言ってないよ!」

「言ってマスー」

「言ってない!!」

…ホントによく分からなくなってきた。

「アンタは何が言いたいんだい!」

一喝。返ってくる答えを待つ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ