玉響〜symphonia〜

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「コレットちゃぁ〜ん」

コレットにちょっかいを出すゼロス。

「なぁに?」

普通に返すコレット。ゼロスがなんか言って、さも楽しそうに笑い合う二人。

「しいな?」

ロイドに呼ばれ、我に返る。

「な、なんだい?」

「ここだけどさ」

「あ…ああ。うん。そうだねぇ……」

責任感に燃え、頑張っているロイドは見ててドキドキする。あたしも頑張らなきゃ!と思う。

ゼロスとコレットがこちらを見ている気がする…。

…気になってしょうがない。

「しいな〜俺様とコレットちゃんがそんなに気になる?何度もこっち見て、ずっと気にしてたでしょ」

「…してないよ。勘違いじゃないのかい?」

「いーや見てた。コレットちゃんに負い目、感じてるんだ?」

「そんなことないよ!別に…負い目だなんて…」

「…しいなさぁ、どうしたいの?」

「え?」

「ずっと、そんな気持ちで居るの?」

「っ!」

「後にも先にも進めないまま、ずっとそんな気持ち抱えてんの?」

「ア…アンタには、関係ないことだろう!?」

「関係ないけど、見ててイライラする」

「…ッ!」

今、胸に何か刺さった。

いつもふざけて軽口しか言わないゼロスが、真面目な顔して『イライラする』と言いきった。

声が…うまく出せない。

何をそれくらいのことでショック受ける必要がある?
ゼロスが何と言おうと関係なんてないハズなのに。

目頭が熱くなってきたが、ぐっと堪えた。

「…そうかい」

続きが…出てこない。絞り出した声は泣きそうなのが分かるくらいに震えていて、情けないことこの上ない。

「しいな…?」

「…ッ。イライラさせて、わる…悪かった…ね……」

涙が溢れてきた。

「しいな!」

体を引かれ、抱き締められた。

「悪い…。つい……」

「な…なんだい!何でもないんだよ!目が痛かっただけだよ!離れなよ!放しなよ!」

「ヤだ。絶対、離さねぇ…」

「なんでっ…なんで優しくするんだい!放っておいとくれよ!」

益々、自分が分からなくなってしまいそうだから。

「しいなが俺様のこと、大嫌いでも、俺はやっぱりしいなが好きだから」

「中途半端な慰めはよしとくれ!アンタのハニー達と違って、そんなの求めてなんてないんだからね!」

「しいな…どうして俺様にだけそんなに頑ななの?」

「…分かんないよ。自分でも……」

「しいな?」
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