玉響〜symphonia〜
□taste
2ページ/9ページ
「貴方がゼロス・ワイルダー?」
しいなにくっついて校門までやってきたら、色っぽいグラマラスなオネエサマが現れた。
「…へぇ?」
横目でチラリとこちらを見るしいな。
あ、また誤解してる?
「ちょっとちょっとしいなちゃーん、違うよ?初対面よ?」
「会ったことない人にまで名前、知られてるのかい?」
疑いの眼差し。
「ホントよー?」
信じてくれそうにない。
「お嬢ちゃん、ホントに彼とは初対面よ?噂は聞いてたけどね」
うわぉ。オネエサマの流し目たまらんねー。声から色気が滲み出ておられる。
「おネエさん、俺様に何の御用?」
「名乗ってなかったわね。私は富士峰(ふじみね)こより。カメラマンよ」
「富士峰こより…?koyori!?」
「あら、お嬢ちゃん詳しいわね」
「koyori?」
「元モデルで有名なファッションショーにも出てて、今はプロデューサー業とか、カメラマンをやってる有名人だよ!エッセイ読んだことある!」
「…そんな有名人様が俺様に会いに来てくださるなんて何ゴト?」
「次に出す写真集のモデルをやって欲しいの」
「モデル?俺が?」
「コイツが?」
「そう!詳しい話をするには場所が悪いわね」
そうして車に連れていかれる。
「あたしもかい!?あたしは今日はバイトが…」
「送ってあげるわ」
喫茶店に強制連行。
しいなは途中で車を降りた。
「行っちゃうのかよ〜?」
とか追いすがったら、一発殴られ
「暑苦しい!この馬鹿」
だって。冷たすぎるっしょー?
おネエさんは笑ってた。
「仲がいいのね」
って。
美女と二人で喫茶店なんて、ドキドキのシチュエーション。どうせならホテルとかの方が燃えるが…
「…引き受けてもらえないかしら?」
「綺麗なおネエさんからの誘いは断れませんよ〜。あ、続きは是非ホテルで」
「本当に噂通りね。じゃあちょっとホテルに行ってみようかしらね?」
うっひゃ〜さすがに世慣れたオネエサマは違うね。あからさまな誘いにも動じない。
最近おとなしくしてたし、楽しくなりそうだなぁ。