玉響〜symphonia〜

□letter
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「今日の数学、難しかったね〜」

4限の授業が終わり、コレットが言った。

「また寝ちまった…」

ロイドが自己嫌悪に陥って呟く。

「あ、私もちょっと寝ちゃった」

ぺろりとコレットが舌を出して言う。

「…確かにちょっと分かりづらかったね。あたしので良ければノート貸すよ?」

「うわぁホント?ありがとしいな!すごいねーどの授業もちゃんとノート取ってて」

「い、いや、別にそんなっ…あ、あー、でも数学に関してはゼロスの方が……ゼロス?」

薄水色の瞳は何も映していないかのようだった。
らしくないので、しいなが話しかけてみるが…心ここに在らずといった様子だ。

「どしたの?何か悩み事?」

コレットが近付いて話しかけると、ふっと伏せていた瞳が動いた。

「あ、あー…。コレットちゃぁん、心配してくれるなんて、しいなと違ってやっさしぃ〜vV」

「…?なんか、変じゃないか?お前」

「ロイドく〜ん。大じょー夫よぉ?俺様、野郎に心配されるほど落ちこぼれてないからね〜」

「なんだよソレ」

ロイドがムッとする。

「アンタ…本当におかしくないかい?」

「そぉー?あ、しいながチューしてくれたら治るかもぉ?」

「ふざけんじゃないよ!このアホ!!」

「アホだなんてヒドーイ。あ、それとも照れちゃってんの?しいなは可愛らしいなぁ」

ゴスッ

しいなの鉄拳がゼロスを襲った。

「いてーっ!」

「アンタの心配なんて二度としてやらないよっ!フンッ!!」

しいなが背を向ける。
怒りオーラが背中からもだだもれていた。

「あーあ…」

そのやり取りを見ていたロイドは呆れ顔。コレットは様子のおかしいゼロスが気になった。

「…?」

殴られ突っ伏し、少しして豊かな赤い髪をかき上げるゼロス。
しいなの背中を見ながらため息をつくのを見て、余計に心配になった。

視線に気付いて、こちらを見たゼロスはニッコリ笑った。

『無理してる気がする…でも……』

深く聞いてはいけない。
その雰囲気を感じとり、曖昧に笑顔を返した。
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