玉響〜symphonia〜
□地
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『分かって欲しいんなら、誠心誠意、その子に向き合って、ストレートにきちんと気持ち伝えないと!』
想い人のしいなチャンに、どうしたら本音が伝わるか聞いてみたら、そんな言葉が返ってきた。
自分のこととはひと欠片も思わず、完っ全に誤解をしている…。
俺様、かなり可哀想じゃない?
まーそれでめげるようなゼロス様じゃないけどね。
ストレートがいいなら、ガンガンやってっちゃうよ?容赦しないよ?
「ゼロスッ!」
あ、待ち人来た来た。
「しいな!いらっしゃ〜い」
「いらっしゃいじゃないよ!『いつもの所に居るから』なんて言って脱走するくらいなら最初からするんじゃないよ!!」
「だ〜って、こうでもしないと、しいな、俺様の所に来てくれないでしょう?」
ハニーたちに対する態度とは変えろと言われたから、呼び名をまず変えてみた。
他のハニーには、“ちゃん”“さん”“様”とか付けるんだけど、しいなチャンは『しいな』と呼び捨てにしてみる。気付くかな?
「なんでアンタの所にわざわざ来ないといけないんだい!」
あ〜スルーですかぁ。
怒りで気付いてないらしい。
「俺が会いたいからv」
ストレートに言ってみる。
「はぁっ!?…なっ、何言ってんだい!」
ありゃ?ストレート発言は当たりなのね。
バキッ!
ただ、殴られるオマケ付き………
「殴るのはナシでしょ〜」
「いきなり変なこと言うからだろ!?」
「変なことって…」
ストレートに本音なのに…伝わらない。
「…で、今回は何かな?」
「え?えっと……アレ?」
「おんや〜?忘れたとか?」
「ア、アンタが変なこと言うからだろう!?…もう一度聞いてくるよ」
「忘れちゃうってことはそれぐらいの内容ってことでしょ?行かなくていーよ。そんなんより俺とお話しよ〜」
「アンタと話すことなんかないよ!」
いつもながら、素っ気ない…。
「俺様はあるよ〜?色々とv」
「はぁ?」
思いっきり不審な目でみつめてくる。
いーけどね…別に。
と、ハッと気付いた顔になる。
「もしかして、本音を伝えたいって子の話かい?」
あー誤解のまま、突っ走っちゃうんだ…。ま、そこがイイ所かな?
「…そうだったりしてv」
そっちがその気ならこっちも…ね。
「どうしたんだい?まさか、もうフラれたとかかい?」
「ははは。まだまだ!今回は長期戦で粘るつもりだしね」
「ははーん。なるほどねぇ。じゃあ、なんだい?」
「んー。なかなか難しくてね〜」
「まぁアンタの普段の行いを見てたら、なかなかね。そういや、どんな子なんだい?」
「どんな子って…そうだなぁ…何事にも一生懸命でちょっと不器用な照れ屋さんで、可愛い子かな?」
「へぇ。純粋な感じかい?」
「そだねー。恋愛には慣れてない感じの子だね」
「そりゃアンタみたいなのは余計に駄目だろうねぇ」
「応援してくれるんじゃなかったの!?」
「そりゃアンタの知り合いとしては応援してやりたいんだけどさ。相手の子のことを思うとねぇ」
「どういう意味よ?」
「だってアンタは歩く猥褻物だからね」
「その言い方、キッツー。ん?待てよ?俺様が男の色気を放っていると言いたいのかな?」
「…アンタの頭はめでたいね」
「ヒドイ〜。相談乗ってくれるんじゃないのかよー」
「あーまぁそうだね」
「やる気ない返事だなぁ」