玉響〜symphonia〜

□イルミネーション
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寒さが凍みる夜。

今日はみんなでイルミネーションを見に…来たハズなんだけど?

「なんで、しいなしか居ねーの?」

待ち合わせ時間を少し過ぎているのに、集合場所に居るのはしいなだけだった。

「なんか、みんな遅れるらしいよ。電車が遅れてるらしくてさ」

「そーなの?」

「うん。先に見てていいって言われたけど、どうする?」

「んじゃそうしましょーや」

思いの外、夜のデートになった。

はぅ…と、しいなが白い息を手にかける。

「…冷えるね」

「明日から寒くなるらしーしな」

俺の嫌いな雪が降るかもしれない。

「…ゼロス?」

「ん?何?」

「その……手…えっと……」

寒さで赤くなっている鼻の頭。
他に原因のありそうな紅潮した頬。

やっぱ、俺様の彼女は可愛い。
笑いを噛み殺して聞いてみる。

「手、繋ぎたい?」

「う…うん……」

おりょ?意外に素直。
面食らってしまった。

「あ、や、やっぱ、恥ず…恥ずかしいよね。ごめんごめん。忘れて!」

こちらに出そうとしていた手を引っ込めて、そっぽを向く。

「じょーだん!繋ぐに決まってんしょ?」

逃げてく腕を捕まえ、引き寄せて。

自分じゃない人の体温を感じて、嬉しくなる。

「ゼロス!」

驚くしいなに笑顔で応えて。

「みんなが来るまで、な?」

「…うん」

恥ずかしがりやのしいなが言う前に。

「ずっとみんな来なけりゃいーのに」

つい本音を溢して

「な、何言ってんのさ。バカ…」

つれない言葉とウラハラに、手のひらの熱が上がったの、わかってるからな?
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