玉響〜symphonia〜

□Road of… 後日談
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―シラルヴェント国―



「休んでください!」

「そういう訳にはいかない!今日は視察があるだろう!?」

「ロイドに頼むから大丈夫です。休んでください」

小さな城の一画での言い合いはすぐに響き渡る。

今日は姫の大切な視察の日。

それなのに、きちんとした護衛であるクラトスは同行をしないよう言い渡された。
理由など分かってはいるが、認める訳にはいかなかった。

自分の存在意義がなくなってしまう気がするからだ。

「姫!」

「絶対に駄目です!今、無理をして悪化したら大変だもの!」

「このくらいの熱でダメになる程、ヤワではない!」

「何言ってんですか!9度近くも熱があるのに!無理しないでください!」

「姫!」

「絶対、駄目です。…今日の視察は近い所だし、大丈夫です」

「しかし…」

「…私に一生仕えると誓ってくれましたよね?その誓いは絶対破りたくありません。そばに居て欲しいです。その為にも…休んでください」

「姫…」

クラトスが切なく姫をみつめる。顔をほんのり赤らめて、姫はそっぽを向いた。

「貴方の負けよクラトス。姫の言う通りになさい」

姫の教育係である女性にも言われ、クラトスは観念した。



「…貴方ってばホーントに過保護で意地っ張りだわ」

「…余計なお世話だ」

熱で頭が朦朧とする。

しかし頬が熱いのは、病のせいだけではない気がする。
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