玉響〜symphonia〜

□Double Wind
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「先生!コレットがっ…!」

茶髪の少年が保健室に駆け込んでくる。

「どうした?」

少年の腕の中には金色のロングヘアーが美しい少女。
長い睫毛に縁取られた綺麗なエメラルドの瞳は固く閉ざされている。

「いきなり倒れちまった!」
保健室の常連の少女はぐったりとして動かない。そっと額に触れると少し熱い。

「そのままベッドに寝かせろ」

指示を出して、自分は熱さまシートをとりあえず用意する。

「先生、コレットは大丈夫なのか!?」

「熱が少々高いが大丈夫だろう。お前はすぐに教室へ戻れ」

「でもっ…」

「大丈夫だと言っているだろう!?あとは任せろ」

「…分かったよ……。じゃあ、コレットのことよろしく」

そう言って去っていく少年。

静かな保健室には自分と担ぎ込まれた彼女だけになる。
また無理をしたのだろうか?
この少女…コレット・ブルーネルは、少々の体調不良は気にしない。そのまま調子が悪くなっても、平気だと自分に言い聞かせ無理をする。そして保健室に来る羽目になる。

しかしここまでの状態で来ることは珍しい。
何かあったか?

…とりあえず今は寝させるしかない。
布団をかけてやりながら、上を向いた手のひらに目がいった。

そういえば先日来た時はカッターで手のひらを切ってしまったという訴えだったな…。
今も痛々しく包帯が巻かれている。なかなかに深い傷だったし仕方があるまい。
その前にはマメが潰れたと言って来たが、それは大分治ったようだ。
ん?指先…なぜ全てに傷テープが巻いてあるんだ?また何かやったのか…。
本当に傷が絶えない娘だな。
3日に一回くらいの勢いでここに来るような生活をしているのだから、無理はないだろうが…

しばらく眠らせておこう。
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