玉響〜symphonia〜

□choose
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「…俺のこと、キライ?」

いつもの言い合いの途中、ふと真面目な顔して、寂しげにゼロスが聞いてきた。

なんて卑怯な質問だろう?

キライだとは、面と向かってなんて言えない。

「俺様のこと好き?」ならまだ「好きな訳ないだろう!?」と言えたのに。

「キライじゃないよ」と言いかけて、飲み込んだ。

どうしてキライじゃないんだろう?

散々からかわれ、振り回され、セクハラのようなものも受けているのに…。

「キライに決まってるだろ?」
と言い、逃げた。

「あ、やっぱり?」
ふざけて言うゼロスの瞳が悲しげな色をたたえていて、すぐに後悔した。でも、言ってしまった手前退けない。

「そんなの前から分かってることだろう?なんでわざわざ聞くんだい?」

「…確認してみたくなっちゃったりなんかしちゃったりなんかして」

「そうかい」

おちゃらけて言うゼロス。
卑怯なのはあたしだ。自分の気持ち、突き詰められるのが怖くて、わざと聞き返した。





LHRで体育祭の係を決めたら

「しいな!よろしくなっ!」

あたしの希望は人気の高い係で、じゃんけんで勝ち進み、たまたまロイドと同じ係になった。
これはチャンス!なのか?

じゃんけん勝負に参加していたゼロスとコレットは負けて、一緒に他の係になった。

あたしがここに居て、いいのかな?
コレットもロイドと同じが良かったんだろうな…。



「良かったじゃん。しいなー。ロイドくんと同じ係で。大チャンスだな〜」

放課後、いつものようにゼロスが絡んでくる。
『キライに決まってる』発言は全く堪えてない…?

「チャンス…なんかじゃないよ」

嬉しいのは嬉しいけど、何だか申し訳なくて、複雑な気分だ。

「何でよ?」

「だって、コレットが…」

「運だから仕方がないでしょーよ。大丈夫。コレットちゃんは、オ・レ・が一緒だから」

「コレットがおとなしいからって、イタズラするんじゃないだろうね!?」

「しいなちゃ〜ん。ソレ偏見よぉ!」

「アンタならやりかねないからね」

「ひっでーのぉ!」

いつもみたいにして、あたしはあたしの気持ちを誤魔化す。見ないフリする。

色々ともやもやしてる…。
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