□甘く長い日
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今日はやけに部屋が広く感じる。

サクラがいないから。

たまに早く任務が終わった日は、サクラと部屋で過ごしていたから、
一人になるのは久し振りだった。

 

 

朝、正確には昼、鳴り止まない電話の音で目が覚めた。

・・・うるさい。

でも、出ようとは思わなかった。

 

『電話も取らないでね!!』

 

愛しいあの子が言ったから。

 

気を取り直してもう一寝しようと布団を掛け直すと、
今度はドアをノックする音が聞こえた。

 

――――コンコン。

「あの・・・はたけさん・・・?」

 

――――コンコン。

「いらっしゃらないんですか・・・?」

 

・・・早くどっか行け!!

ドアを開けてそう怒鳴ろうと思ったけれど。

 

『誰か来ても開けちゃダメだよ!!』

 

愛しいあの子が言ったから。

枕もとの写真立てに軽く微笑むと、あの愛しい笑顔が頭から離れなくなって、
結局眠れなくなってしまった。

 

 

 

サクラに会いたい。

今すぐに。

 

『あたしが行くまで一歩も外に出ないでね!!』

 

愛しいあの子が言ったから。

 

でも、会いたい気持ちはどうにもならない。

大体何でそんな事を言ったのかも分からない。

自分はこんなにもサクラに会いたくてしょうがないというのに。

 

「・・・くそっ!!」

力任せに枕を壁に向かって投げつけた。

「・・・先生?」

見なくても分かる、愛しいあの子の声。

 

「サクラ!?」

カカシの気配が尋常じゃないので、入るに入れなかったのだろう。
ドアの隙間からそっとこちらを窺っている。

 

「・・・やっぱり、怒ってる・・・?」

そんな目で見られたら、怒ってないと言いたくなるけれど。

「・・・怒ってるよ」

「ごめんなさい、勝手な事言ったりして・・・」

「こっち、来て」

 
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