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□銀世界
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「・・・キレー・・・」
カカシに連れられて来た所は、今まで来た事もない所で。
辺り一面にまッさらな雪が積もっていた。
「でしょ?」
得意顔、とは正にこの事。
「ほら、こっちおいで」
指差した先には、大きな木があった。
冬になっても葉が落ちないその木の根元は、雪は積もっていなくて、座るのに最適だった。
「すごいねー、こんな所があったんだ・・・」
白い息を吐きながら、うっとりと呟くその姿は、とても歳相応のそれとは思い難かった。
「ねえ先生、あっち行ってみてもいい?」
不意にそんな事を訊ねられたから。
不覚にも踊り出した鼓動を聞かれやしないかと心配した。
「ン?ああ、いいよ。気を付けてな」
無邪気に走り去る後姿を見送った。