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□わたしができること
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「アイツは誰にも負けない・・・」
そう言ったガイは、どこか誇らしげな顔をしていた。
「体術、だけ・・・」
忍術も幻術も使えない忍者。
そんな忍者は生き残れない。
それでも今こうしてリーさんがここにいる理由はただ一つ。
自分に出来る事を、精一杯頑張ったから。
私は?
私には何が出来る?
「サクラもやってみる?」
不意に声を掛けられ、振り向くといつになく真剣な目をしたカカシがいた。
「わたし、が・・・?」
「そ。」
サクラにはカカシの言わんとしているところがいまいちよく分からない。
そんなサクラを他所に、カカシは話しはじめる。
「勉強だけ、頑張ってみる?」
勉強だけ・・・?
確かに私は勉強しか取り得がないけど、でもそれは・・・!!
「イヤ!!そんなのリーさんに申し訳ないもの!!」
「なんで?里一番になれるんだよ?」
「・・・私は、忍術も幻術も、練習すれば使えるかもしれない」
眼下で行なわれている試合を見ながら、ぽつりぽつりと心の内を語り出す。
「だから、そんな逃げるようなマネなんてしたくない」
握る掌に力がこもる。
その手にそっと触れ、柔らかな髪を梳きながら、諭すように言い聞かせた。
「じゃあ、今サクラが出来る事を、精一杯頑張れ」
「・・・うん!!」
私が出来る事。
それは、今を一生懸命頑張る事です。