□手をつないで・・・
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年が明けると、木の葉の里もすっかり冷え込んできていた。

朝夕の寒さが厳しくなっている。

草木には霜がつき、池の水は凍りつく。

吐く息は白く濁り、指先も冷たくなる。

 

「そんじゃあ、今日は解散」

「寒い寒いさむいってばよーー!!」

珍しくナルトが解散の言葉と同時に駆け出した。

「どしたんだ、ナルトの奴・・・?」

「イルカ先生とラーメン食べに行くんだって」

当然の事ながら、サスケはもういなくて。

「さーて、帰るか」

カカシとサクラの二人は、既に日が沈んで人通りの無い通りを並んで歩き出した。

「ね、先生。手、繋いでいい?」

サクラが横から見上げながら訪ねた。

「いいよ。ホレ」

そんな事をわざわざ訊ねるサクラがかわいくて、つい吹き出してしまう。

「・・・?なによぉ、何で笑うのよ」

「ん?いやー、サクラはかわいいなーと思ってさ」

みるみるうちに朱に染まっていく頬。

「・・・あんまり変な事言わないでよね・・・」

そう言いながらも絡まる手と手。

「先生の手、なんかあったかいね」

繋いだ手には、いつもの冷たさが感じられなかった。

「サクラの手が冷たいんだよ」

空いたもう片方の手で、染まった頬に触れる。

そこも、熱は感じ取れないくらいになっていた。

「ほら、こんなに冷えて・・・」

手を繋いだままで。

どちらからともなく近づいて。

触れるくちびる。

跳ねる鼓動。

「さ、帰るか」

名残惜しそうに重ねたくちびるを離して。

いっそう強く手を握り締める。

強く、壊れないように。

ずっと、離れないように・・・。

 
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