□タバコのにおい
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「先生って、タバコ好きなの?」

「サクラ、タバコの煙とか匂いってキライ?」

 

いつもいつも。

大好きな人から香ってくるツンとした香。

抱き締められると香ってくる。

ほら、今も・・・。

 

「うん・・・あんまスキじゃない・・・」

そうかー。

そう言って、腕の中の小さな恋人の髪を梳きながらすまなそうにカカシは笑った。

「でもサクラの前じゃ吸ってないだろ?」

「うん、そうだけど・・・」

意を決したように、顔を上げてカカシを見た。

「先生、何かイヤなことあるの・・・?」

「なーにさ、イキナリ」

突然の問い掛けに多少おどろき、でもそれを顔には出さずにサクラの額に触れるだけのキスを落とす。

「別になんもナイよ?」

「ウソ!!だって言ってたもん。タバコ吸うのはストレス溜まってるからだって!!」

 

誰だ、余計な事サクラに吹き込んだのは・・・?

 

「大丈夫。ホント何もないから。ただのタバコ好きだよ」

「・・・ホントに?」

答えるかわりに、今度は唇を重ねた。

「本当だよ。心配した?」

にっこりと微笑むと、予想外に素直な答えが返って来た。

「・・・した。すっごく・・・。先生に会うと、いっつもタバコのにおいするんだもん・・・。」

背中に手を回し、胸の中に顔を埋める様が愛しい。

 

「サクラ・・・?」

黙ったままのサクラに、不信に思ったカカシが声を掛けてみた。
だが、なんの反応もない。

暫くして、規則正しく聞こえてきた吐息と、浅く上下する小さな肩。

「寝た、のか・・・」

ふうっ、と息をつく。

サクラをベッドへ寝かせ、無意識のうちに手がタバコへ伸びる。
そこから一本だけ取り出し火を点けた。

「ゴメンな、サクラ。1コだけ嘘ついた・・・」

 

ストレス、溜まってるって?

当たってる、確かに。

でも、本当にオレがタバコ吸うのは、サクラがいない時だけだよ?

サクラとずっと一緒にいられるなら、タバコなんていらないんだからさ・・・。

 
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