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□恋心
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あ、やっぱり今日もミルクティーだ。
ここはアカデミー内の食堂。昼食には少し早い程度の時間。
日当たりの良い窓際の席から、女の子特有の笑い声。
そこには、その名の通りきれいな桜色の髪を携えたサクラが、くの一クラスの元クラスメイト2人と
仲良く話していた。
今日は久し振りに、午後まで縺れ込むような任務ではなかった。
報告書を提出に行くと、偶然出会った元クラスメイト達。
お互い午後はヒマだったので、一緒にお昼にしようという事になってしまった。
「んー、けっこうゴーインなのね、あの子達・・・」
ため息混じりで呟いた。自分にしか聞こえないハズだったのだが・・・。
「先生、あの・・・ごめんなさい・・・」
いつもの上目遣い。すまなそうな顔。上着を掴んでくる小さな手。
そのどれもが愛しい。
「ン、いいよ。行って来なサイ」
ごめんなさい、ともう一度謝る。
「サクラは何も悪い事してないでしょ?なんであやまるの」
目線を合わせる為に腰をかがめ、そのきれいな桜色の髪を撫でた。
「・・・うん、でも・・・」
「サクラ、オレねー、サクラの作った弁当食べたいなー。
明日のお昼、作ってきてよ」
それを聞くと、今までとは正反対の、彼女に一番似合う笑顔が現われた。
「じゃあ、明日のお弁当、先生の好きな物イッパイ入れてくるね!!」
「そうしてくれると嬉しいな。だから気にしないで行って来なサイ」
頬に口付けると、少し朱い顔で駆けて行った。