ロックオン誕生日祝い!!

□君に花束を
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ロックオン・ストラトスは今ユニオンの外れの小さな町で暮らしていた。
ソレスタルビーイングと世界の戦いに幕が引かれ、それぞれの道を歩き始めたマイスター達だったが、ロックオンは完全に戦いの世界から身を引く覚悟をしていた。
本当は、これからも世界の為に力を尽くしていくのが今まで殺した人たちへの唯一の償いなのかもしれない。
それでもロックオンは戦わない道を選んだ。
そして、マイスター達は静かにその思いを受け止め、背中を押してくれた。
先の大戦から4年…
まだ思い出すと胸は痛むけれど、時の忘却は誰のもとにも平等に訪れる。

「ニールせんせ〜!」

「はいはい。もうすぐ御飯の準備するからな!」

そしてロックオンはただのニールにもどり、今は小さな町で戦争孤児たちを引き取って暮らしていた。

『ホーム』

戦争で無人になっていた小さな施設を譲ってもらい、1人2人と子供達も増えにぎやかになっていった。
この子らの親を、家族を殺したのは自分かもしれない。
直接手を下していなくても、引き金を引いたのは自分たちだ。
それでも、世界を恨んだまま、愛を知らないまま子供たちが生きていかなければならないのがつらかった。
だから、偽善とののしられてもいい。
子供たちの家族になれたら、と思ったのだ。

「せんせ、きょうおたんじょうびでしょ?今日もハムちゃんくる?」

「こら!目上の人をハムちゃんなんて呼んだらだめだろ?グラハムさんだ」

「え〜!ハムちゃんがいいって言ったもん」

ぷっくりと頬を膨らませた女の子は、月に何度か訪ねてくるお兄さんに夢中で、毎日のように金髪の彼が来るのを楽しみにしている。
その楽しみを奪いたくはなかったが、なんだか奇妙なものだな、という思いもあった。


こんな辺境に時折顔を見せる物好きなグラハムと出会ったのはまだ戦争中だった。
利き目を負傷したまま無理を押して戦場に出て、仇を討って死んだと思った。
宇宙を漂流していたロックオンを拾って看病し、なおかつソレスタルビーイングに戻るとわかっても送り出してくれた恩人。
ニールは怪我で『ロックオン』をライルに譲らざるを得なかったが、直接戦場で会わずともいつ命を散らすかわからない互いの身の上がひどくつらかった。
だが、その戦争も終わり功績者として階位を挙げた彼はふらりとニールのホームへ顔をだしたのだ。
3年前の3月3日に。



(許してくれ姫…私は君の幸せな姿を見られればいいと思っていた。だが…君の幸せの隣に私がいないのがこんなにも辛いことなんて思わなかった…)

(馬鹿…軍人様がこんな田舎にわざわざ)

(そうだ。私は軍人だ。だが、私が軍人であり続けるのは君を…君が愛する者を守るため。どうか、私を側にいさせてくれ…)


たった1月ほど看病をしただけなのに、生きているかもわからない自分を探し回って、しかも子供達まで仰天するプレゼントを腕いっぱいに抱えて。

あれから3年になる。
懲りずに通ってくるグラハムを待つのがニールと子供たちのささやかな楽しみだった。


そして今日も

「誕生日おめでとうニール!!」

彼は頬を赤く染め、満面の笑みで腕の中からあふれそうな白いバラを差し出す。

「ありがとうグラハム」

最初は女じゃあるまいし花束なんてどうする…と思っていたし、彼もそれはわかっていた。だからこそ、普段遊びに来るときは食べ物や子供たちのおもちゃが多いのだがニールの誕生日だけは白薔薇の花束を欠かさなかった。
それが、彼なりの美学らしい…ということを悟ってからは喜んでもらうようにしている。
普段冷たく整った彼の顔が喜びに溢れて少しだけ幼く見えるところを見ると、ニールも子供たちも幸せになれるから。

ニールと子供達は満面の笑みでグラハムに言った。

「「「「おかえりなさい」」」」

驚いて目を開いた彼の顔が徐々に泣き笑いのような表情になっていく。


「ただいま」


そのことばが。
何よりも嬉しい贈り物だよ



ってことで、書いてる私も設定がこんがらがってます…
戦後4年経っていて、グラハムと出会って3年。まだお互いに片思い中ですv
ニールは、誰より愛の尊さを知っているからたくさんの人を愛して愛されて欲しいと思って孤児院の先生にしてみました。
きっと世界が平和になったらグラハムも隣にいると思いますvv

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