小説(その他)
□バビロンの滅亡
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場所 バビロニア王国の都バビロン
人物 ベルシャザル(バビロンの城主)
バビロンの神官
セミラミス(神官の娘)
キュロス二世(ペルシャ帝国の王)
バビロンの宰相
クロイソス(キュロス二世の配下)
バビロンの女王(ベルシャザルの母)
街の人
ペルシャの密偵
ペルシャの兵士1,2
バビロンの兵士1、2
ベルシャザルの妹
1[第一幕 第一場]
語り部 紀元前五五〇年、イラン高原に一つの王朝が誕生した。これが、後に全オリエントを統一することになるアケメネス朝ペルシャである。その帝国の建国者であるキュロスはリディア王国を滅ぼし、小アジアをその支配下におさめた。キュロスが次に狙いを定めたのがカルデア帝国の首都バビロンであった。バビロンは二代前の王、ネブガトネザルの治世に全盛期を迎えた。首都バビロンは威容に満ちた城壁に取り囲まれ、巨大な塔がそびえ立っていた。このバビロンを守るのは若きベルシャザルであった。ベルシャザルとキュロスの雌雄を決する戦いが今、始められようとしている。
ペルシャ軍幕舎
キュロス、クロイソス、ペルシャ軍兵士1,2
ペルシャ軍兵士1 王様に申し上げます。わが軍は敵の軍勢を大いに破り、バビロンの軍勢は城内へと退却しました。
ペルシャ軍兵士2 敵は恐れるに足りません。
キュロス それで、その後の敵の動向はどうだ?
ペルシャ軍兵士1 籠城の構えにございます。
ペルシャ軍兵士2 我が軍の力をもってすれば、落城も時間の問題でしょう。
キュロス うむ。では、総攻撃を今すぐしかけよう。
クロイソス 王様、少しお待ちください。バビロンは我々が今まで攻略してきた数多の街の中で最強の要害です。我が軍に想像以上の犠牲者が出るのは間違いありません。
キュロス ならば、お前に良い考えはあるのか?
クロイソス はい、ございます。バビロンの神官を味方につけるのです。あの男は金品には目がないという噂です。莫大な賄賂を贈ってみましょう。
キュロス だが、どうやって賄賂を贈るのだ。バビロンの門は堅く閉ざされたままだぞ。
クロイソス 私の部下をあらかじめ潜入させております。彼に合図を送りましょう。
キュロス おお、素晴らしい!成功する見込みはあるのか?
クロイソス はい、自信はございます。部下に城門を開けさせ、そこから我が軍を突入させましょう。
キュロス よし、お前の案を採用しよう。街の包囲を解き、敵には全軍退却したと見せかけよう。すぐに、作戦に移れ!
クロイソス かしこまりました。