小説(少年もの)

□小さな話
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 雨が止んだ。太陽の光が差し込む。大地が輝き、エメラルドになる。青空に虹がかかる。のんびりと草をはむヒツジたち。大地の上に続く石灰岩の石畳、天空うに力強く突き出した断崖絶壁。湖に立ち込めていた霧が少しずつ晴れていく。我が故郷、アイルランド。
 あの話を初めて聞いたのは、私がまだ少年時代を謳歌していたある一日の昼下がりであった。私は他の子供たちと一緒に、興味深い話をしてくれるおじさんの所に行っていた。このおじさんはアイルランドに伝わるいろいろな神話や民話を子供たちに話してくれた。私はおじさんの話が好きで、話がある日には、おじさんの家に欠かさず通ったものだった。子どもたちが集まると、おじさんは話を始めた。私はいつも最前列に座って聞いていた。
 今、父親となった私は娘のキャロラインとソファーに並んで座っている。外は雨が降っている。こんな日は必ず、私は娘に昔、おじさんから聞いた話を聞かせてあげるのだ。
「ある日曜日の朝のことでした。ひとりの神父さんがミサをあげるために、自分の受け持ちになっている協会へ出かけました。祭服を着て、教会の中に入りましたが、十分な人数がまだ集まっていませんでした。そこで、神父さんは、『もう少し皆の集まり具合を見てからミサをあげよう』と言いました。教会の近くは、小さな森といってもよいほどの林となっていました。林の中から小鳥のさえずりのような声が聞こえるので、神父さんは協会の出口の方へ行き、声のする方を眺めました。新譜さんは鳥の姿が見えないかと思って出口から数歩外へ出ました。うれしいことに鳥を発見しました。今までに見たこともないきれいな鳥で、声もまた美しい。

(執筆中)

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