\おはなし!/

□ロマンチックランデブー
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俺のチャリンコの荷台はお前しか乗せへん

俺の背中にくっついてええのもお前だけ



お前のその低い体温を

俺が少しでも暖められたらええなって

いつでも思っとるっちゅー話や

































「ひかるー!帰るでー!」

「はぁい」



部活が終わって着替えて帰る

いつも通りのお前との日常



「安全運転で頼みますわぁ」

「いっつも安全運転やろ」

「たまにスピード出しすぎて捕まるんちゃうかって心配っすわ」

「スピードスターなんやからしゃあないっすわー」



生意気で毒舌で
それでも可愛いお前を自転車の荷台に乗せて帰るんが俺の日常

「口癖パクんなやー」と笑うお前との何気ない会話が愛しい



「謙也さん、」

「なに〜?」

「明日CD屋行こ。新しいの発売すんねん」

「おぉ、ええよ。なに発売するん?」

「この前貸したインディーズ覚えてます?」

「あぁ、あれか!買ったら貸してな〜」

「了解っすわ」



荷台に乗って、俺のシャツの裾をきゅっと摘んで落ちひんようにしとる光

「ぎゅうて抱きつけばええやん」て何回言っても聞かへん

いや、1回「恥ずかしいすわ」と可愛く断られたのはたまらんかったけどな…



「謙也さん、」

「んー?」

「…ぜんざい食いたい」

「またぁ。どんだけ好きやねん」

「テニスと同じくらい好きっすわ」

「どんだけ〜。コンビニ寄る?」

「ゴチっすわ」

「なんで俺が奢ることになっとんねん」



2ケツ中、光は結構よう喋る

俺が運転に集中して話しかけへんせいや

歩いとる時は俺が話しかけることが多いんやけど

やっぱ寂しいんかな?

流れる景色と風の音にまじって、背中から聞こえる「謙也さん」と呼ぶ声が愛しい



「謙也さん、」

「はいはい」

「……。」

「…なに?光?」

「…謙也さん、」

「?」



なんやろ?と首をちょっとだけ後ろにやって光を見ると

コテっと頭を俺の背中に預けてきた








「……すき」





風を切る音に消されそうな声で





聞こえた

バッチリ俺の耳に録音したっちゅー話や

…なんやねんコイツ

たまーにこんな可愛えことしよるからたまらんねん

もう!この小悪魔!



俺は急ブレーキしてその場に止まった



「痛っ」という声が背中から聞こえた

ガタンてなったせいでケツぶつけたんやろな

すまんな

あとで摩ったるから(多分めっちゃ怒られるけど)



「謙也さん、いきなりな…んっ、」



身体を少し反転させて光にキスをした

だってたまらんかったんやもん



「すき」ってお前、

それ他の奴には絶対すんなや

白石とか特にダメやで!



「ん、…んぅ」

「ひかる…」



唇を離してちょっと無理矢理な体勢で抱きしめる



「…けんやさん、ここ道端…」

「……ひかるのせいやん」

「…恥ずかしい」

「……可愛い。俺もめっちゃ好き」



道端?関係あらへん

好きなんやもん

しゃーないやん



あー、見られとる見られとる

車に乗ったオバハンがこっち見とるー



「…謙也さん、」

「…ん?」

「…家、行きたい」



身体を離すと上目遣いでおねだりされた



あーもう…

ぜんざいでもなんでも買ったるわー

家でも何でも来るとええ

つか泊まってけお前



「泊まってもええけど…その前にぜんざいっすわ」

「ちくしょう。お前ぜんざいと俺どっちが好きやねん」



再びチャリンコを漕いでコンビニへ向かう

さっきの甘い雰囲気をぜんざいに取られた気分やわ



「…謙也さんっすわ」

「へっ?」

「謙也さんの方が、好き」

「…ほんま?」

「当たり前っちゅー話や」



シャツの裾を摘んでた手がスルッと前にきた

ぎゅう、と抱きしめるられて

背中から光の体温が伝わる



「…口癖パクんなや〜」

「しゃーないっすわ」

「……お前、身体つめたい」

「……はよ家行って暖めて下さい」

「…おん」





コンビニについたらまたキスして抱きしめたろ



そう思って俺はまたチャリンコを漕ぐスピードを速めた





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2ケツって素晴らしいって話







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