\おはなし!/

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「おかえり」

「た…ただいま…」



会社で大量に貰ったチョコを入れた紙袋をブラさげて家に帰ったら

奥さんが玄関で仁王立ちして待ってた



口は笑ってるんだけど目が笑ってない



「今年は何個貰ったの?」

「え、数えてな…」

「何個?」

「……50個くらいかな…」

「はっ…。大人になってもおモテになるんだねぇ、君」






鼻で笑われたし











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in valentine















「合計64個」

「え、そんなにあったのか?」

「…ふーん、去年より6個増しか」

「……。」



提出したチョコを数え終わったらしいヒバリは笑って(でもあきらかに不機嫌)俺にチョコの合計を教えてくれた

つか、去年の合計も覚えるとか…愛されてるのな俺…



「き、きっと全部義理だろー?」

「へぇ〜…手作りとかもあったけど?」

「彼氏の作ったついでとかっ!」

「ゴディバのお高いチョコを義理であげるんだ?今の女の子はすごいね」

「ははは…」



とりあえずヒバリの機嫌を良くしようと頑張ってみるけど

ダメだ

ヒバリ怖い
笑ってるけど超怖い



(…でも)



「昔からモテるもんね、君。中学の時なんて一日中逃げ回ってた君を応接室にかくまってあげたっけ?」

「そんなこともあったな〜」

「“俺はヒバリのチョコしか欲しくないのな”って言った時もあったね」

「あ〜…、うん…」

「逆に君からチョコ貰った時もあったね、手作りチョコ」

「……ヒバリ」

「なに?」



「ヒバリからはチョコないのか?」



いつもよりよく喋るヒバリを後ろから抱きしめた

一瞬びくりと身体が強張ったけど、それでも離す気はなかったので強めに抱きしめた



(でも、それってヤキモチだよな?)



「…あんなに貰ったくせに僕からも欲しいの?」

「つか、ヒバリだけから欲しかったのな」

「なら断ってよ」

「……ヤキモチ焼く可愛い奥さんが見たくてつい…」

「なにそれ…」



こめかみ、耳、頬、首…とキスを贈る



だって、ヒバリってば毎年可愛いんだもん

俺が貰ったチョコ見て不機嫌になるの

ホントはヒバリからしか欲しくないけど

それが見たくて、俺はつい他の女の子からチョコを貰ってしまう




「昔っからヤキモチ焼きなところは変わってないのな」

「……むかつく」

「うん、ごめんね」

「むかつく…」

「うん、」

「……。」



「ごめんね、愛してるよヒバリ」



強く

強くヒバリを抱きしめる





なぁ、

同棲して色んなアンタの顔見れるようになったけどさ

拗ねた表情とか照れた表情とかは昔から変わらないよな



俺だけしか知らない表情

俺だけが知ってる表情



すべてが愛しいと思う




















「はい、僕からのバレンタイン」



テーブルに出された晩ご飯はハンバーグだった

しかもハート型

隣に添えられたニンジンもハート型



(なにこれ…可愛すぎだろ…)



ニヤける顔をこらえていたら、ヒバリが目の前で笑った



「デザートは僕だよ」



チョコレートより甘いキスと
チョコレートより伝わるハート型のハンバーグは



きっとヒバリの愛のシルシ



(ハッピーバレンタイン、俺…!!)






***********


何年経ってもヤキモチ焼くヒバリと大人になってちょっと相手を思いやる余裕出てきた2人が書きたかった(笑)



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